今はなくなってしまった季刊誌「リテレール」は特集を中心にして、何年か続いた
のでありますが、これとあわせて版元である「メタローグ」からは単行本もでていた
のでした。なくなってしまうと、「リテレール」があればねと思わぬこともない。
とくには、これの別冊「ことし読む本 いちおしガイド」というのがよかったこと
です。この「いちおしガイド」は、自宅のあちこちに未整理のまま、ダンボールに
はいって保存されているのでした。スーパー編集者を自認していた安原顕が会社を
さってからも、残されたスタッフはよくも刊行をつづけたものであります。
どう考えても、安原さんはつくり、こわす人でありまして、続けるひとではないです
よね。
この連休にすこしのぞいてみようと思って、「いちおしガイド2004」というのが
居間のテーブルの近くにあります。2003年12月くらいにでたものですから、
ほんの5年前のことです。
03年刊行された小説として、次のものをあげているひとがきますが、このような
ものが刊行された年というのは、けっこう実りの多い一年であったということですか。
・ 舞城王太郎 「阿修羅ガール」
・ 阿部和重 「シンセミア」
・ 島田雅彦 「無限カノン」三部作
・ 保坂和志 「カンバセーションピース」
高山宏さんは、国書刊行会からでた「山口昌男ラビリンス」をあげているのですが、
「出版不況の中、こんな怪物本をだす、国書刊行会社主 佐藤今朝夫氏、死ぬほど
山口にはまった編集(偏執)狂 川村伸秀氏に拍手。・・トークの席で12000円
の大冊が署名入りで11冊も売れるのを見て、トークのしめくくりに山口氏が『もう学問
は終わりだ』とおっしゃった一言は痛烈だった。先生にいわれると、ね。」
ブログを書くときには、けっこうこの「リテレール」は重宝するのでありました。