八木義徳全集2

 八木義徳さんは、小説をはじめとする単行本を30数冊もだしているのであり
ますから、全集というからには、相当の巻数が必要となります。福武書店から
でた全集は、全部でたったの8冊でありますからして、選集とかいうのが正しい
のでありましょう。まあ響きとしては全集のほうがずっとよろしいし、なによりも
作者が全集としてだされることを望まれたのでありましょう。
 昨日に引き続きで、装丁を担当された田村義也さんの、この全集についての
文章からの引用をしてみましょう。
「 八木全集は、あざやかな活版印刷の青色と濃い灰色が効いた堂々とした出で
 立ちで毎月定期的に発行され、私も満足した。全集全8巻は1990年10月に
無事完結したが、翌年夏頃だったか、根本君がまたやってきて、『また八木さんの
本の装丁お願いします。今度のは、『文学の鬼を志望す。』っていう題です。」
という。
 そういえば、全集は『小説」全集であって、エッセイは入っていなかったので
ある。」
 この全集には、ある程度の年譜と著作目録がついていますが、年譜などもっと
詳細であればもっと興味深いのにとおもいました。著作目録は、そこそこであり
ますが、これは八木義徳書誌ができているからでしょうか。
 この年譜をみていて、これのことかと思ったのは、次のくだりです。
「 昭和56年9月 講談社フェーマス・スクールズ四谷学院文芸講座(小説作法)
 の八木教室を受け持つ。」

 この講座は、結局足かけ9年間続けたのだそうです。この講師をやめたのと、
全集の刊行がはじまったのは、まったく同じころであります。