きまぐれな読書2

 はてなのキーワードに「富士川義之」さんは登録されていないのでした。
この人は、お父さんが「富士川英郎」さんでありましょうし、おじいさんは
富士川ゆうというひとでしょうから、学者3代であります。
 大学院を卒業してからの職歴が國學院大學都立大学とありますから、わかる
ひとにはわかる文学者エリートコースであります。國學院は、丸谷才一とかが
非常勤でいっていましたし、都立大学は、篠田一士さんなどそうそうたる
面々が在籍していたのです。

「 きまぐれというのは、その時どきに興味本位に読んだ主として現代イギリス
文学をめぐって書いているからで、もっぱら自分の好みに合うその諸相を雑然と
気ままに書評エッセイとして書いただけである。・・・
 私は直接役にたちそうもないいろいろな本を遊び心で読むことが好きで、十代
半ばで身につけた雑読の習慣からいまだに逃れられないでいる。きちんと目標を
設定して、目標に向かってひたすら一直線につき進むような効率的、かつ計画的
な読書をすることがどうも苦手である。いつもふらふらと寄り道を愉しんだり、
横道にまぎれこんだり、遊歩道で遊んだりといったようなことを性懲りもなく
繰り返している。そのことをどうにも否定しようのない自分の読書癖として
自覚せざるを得ない。」(あとがき から)

 つまみ読みをもっぱらにしている小生の気分にぴったりの内容ではありますが、
本文のエッセイはけっこう歯ごたえがあるのでした。