最近購入した本 3

 丸谷才一さんの「後鳥羽院 第二版」の文庫を手にして、あとがきなどをみていま
すが、このあとがきが、次のような書き出しとなっていることは、すっかり忘れて
います。
「これはひょっとすると、わたしと國學院大學との関係を記念するために書かれた本
かもしれない。何年もかけてやうやく書き上げた今、わたしはそんな感傷にひたって
ゐる。
 本郷の英文科を卒業して間もないころ、わたしを國學院大学に世話して下さったのは
平井正穂先生と小津次郎さんであったが、ここで十数年を過ごすことによって、ある種
の恵まれた青春の一部分と中年の一部分とを、わたしは生きることができた。」
 この時期の國學院大學の文学系にどのような先生が集まっていたかは、そのときに
学生であった嵐山光三郎の小説「口笛の歌が聞こえる」に描かれています。
 この小説のことは、何度か拙ブログでも取り上げたことがありましたが、本日に
検索からこのところに立ち寄って足跡を残してくださったかたがいらして、ひさしぶり
で当方も、過去に記した以下のページを見てみました。
http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20080402
 それにしても、丸谷才一さんが、この時に國學院ではなく、他の大学、とりわけ
本郷の大学に残ることになったら、「笹まくら」も「後鳥羽院」も生まれなかったと
いうことでありましょうか。