- 作者: 吉行淳之介
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/06
- メディア: 文庫
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昨日に引き続きブックオフへと立ち寄りました。昨日に見つけて購入するに
いたらなかった本を、数冊入手したものです。
そのうちの一冊は「懐かしい人たち」吉行淳之介 講談社刊でありますが、
小生が購入したのは、上記の文庫本ではなく元版のほうです。大判の本に
ゆったりと文字が組んでありまして、ぜいたくな本となっています。文庫の
新刊とくらべると、この単行本が5百円というのは、ばか安いこと。
この本には、文学者が30名もとりあげられているのですが、結城信一さんの
ところをみておりました。
「 結城信一の葬儀は、きっと小説家の数はすくないだろう。にぎやかしに
出かけるか、それにしても億劫だな、本人はもういないのだし、遺族とはまったく
面識はないし。
教えられたのは、日暮里の本行寺というところで、午前11時から葬儀だという。
すこし早すぎはしまいか、と疑いはじめ、夕刊で調べることにした。
朝日の夕刊には死亡記事は載っておらず、リチャード・ブローティガンの急死が
小さくでていて、驚いた。
この西海岸の代表的詩人、小説家とは、友好的気分で何度かあっている。
サンフランシスコにいったときも、彼は不意に私の前にあらわれ、「家に
遊びにこないか」といった。私は、30代半ばから、すっかり訪問ぎらいに
なっていたので断った。結城信一のところへも、一度もいったことがない。
それにしても、このところ目を悪くしているので、新聞は大見出ししか見ない。
結城信一のことがなかったら、ブローティガンのことも当分知らないままに
なっていたろう。リチャード・ブロティガンは49歳であった。熊のような
大男で、やさしい目をしていた。」
「ちくま」に連載されていた石堂淑朗の文章で、吉行のことをブローティガンを
尊敬していたということを知ったのですが、こちらはえらくさらっとしていて、
ブローティガンとのことを、もうすこし吉行が文章を残してくれてもいいので
ありますが、ほかの文章で、吉行はなにか書いているのでありましょうか。