批評のスティルをもとめて

 昨日のブログで篠田一士さんは、吉田秀和さんについてずっと昔に取り上げて
その文章は筑摩書房からの「作品について」におさめられていますと、自信を
もって書いてしまいました。
 本日の夜になって、さて、当該文章を確認しようと「作品について」をとり
だしてきてみましたら、なんとこれにはのっていないのでした。それじゃ何に
のっていたかと、まずは音楽についてのエッセイ集を手にしてみたら、集英社
からでていた「音楽にさそわれて」のなかに収録されているのでした。
( 昨日のブログについては、書き換えを行いました。あしからず。)

 音楽についてのエッセイを集めたものですから、この吉田秀和さんについての
批評はうまく場所をえたかっこうとなっています。「批評のスティルをもとめて」と
題された、この文章の初出は71年2月の「すばる」でした。(ちなみに筑摩からの
「作品について」も71年にでたもので、そんなことが、これにはいっていると
思わせたのかな。)
 この「批評のスティルをもとめて」の書き出しは、以下のようなものです。
「 批評は、文体によって、それ自体文学になりうるといういいふるされたテーゼが
正しいならば、吉田秀和氏のもっとも新しいエッセー集『今日の演奏と演奏家』の
読者は、しばしば、そういうめでたい瞬間に祝福されるであろう。」