隣町のブックオフ

 本日は、午後から野暮用があって隣町へといってきましたが、ついで最近開店した
ばかりの「ブックオフ」によってきました。地元のブックオフでは、ほとんど
百円棚ばっかりをあさっているのですが、この店には、はじめてきましたので、
百円の棚に、どのような本があるのかと胸躍るのでありました。
 ある種の単行本については、新刊では購入せずに、ブックオフで半額になるか、
文庫本となって、百円になったら購入することにしましょうというのが、最近の
作戦であります。
 本日は、女性作家のものを中心に購入です。
 大庭みな子「 女の男性論」 中公文庫 
 先日になくなった作家のエッセイ集ですが、良妻賢母とはまったく違った
印象をうける女性作家です。亡くなるまでの何年かは、体が不自由となって、
ご主人の介護をうけていたのですが、この二人の夫婦関係をみましたら、ほとんど
男女の性別と役割が反対であるような気がすることです。亡くなる前には、口述筆記で、
介護にあたっているご主人が原稿の清書をしていたようですが、作家が外の男性に
思いを寄せるなんてことを聞き取りながら、清書するご主人の心中はどうであるのかと
いうような記事を、作家の追悼文のなかにみたような気がします。
「 男も女もお互いに独立できる状態で、それもなおかつ二人で暮らすほうが幸福で
 あるという結論のもとに結婚生活を続けているのでなければ結婚の意味はない。
  夫が妻以外の女に関心をもっても、それは人間としてごく自然なことであると 
 同様に、妻も夫以外の男に関心を持つのは自然である。結婚したとたんに配偶者
 以外の異性に心がむかなくなるというようなのは特殊な生活をのぞいてはあり得ない。」

 このように書けるのも、大庭みな子が精神的にも、経済的にも自立していた
からでありましょうか。この引用した文章は「夫を孤独にするな」というものから
とったのですが、この文章の終わりは、次のようになっているのでした。
 「男を家庭に帰る気分にさせない社会制度も間違っていると思う。日本の男には
 職場の時間をすこしでも引きのばすことで、孤独を慰めている悲しいこころが
 見えて、むしろ哀れである。男は職場につながる誰かと少しでもながく同席して
いることで不安をやわらげ、家庭にへばりついていると孤立してしまうように
思うのである。」