ブックオフ七変化 2

本の雑誌」8月号の「ブックオフ」特集から話題をいただきです。
 ブックオフについての座談会(今柊二 とみさわ昭仁 書肆紅屋)にあった次の発言
に納得です。
「  ブックオフの功の部分(という問いかけに対しての回答です。)
 今 ご主人と知り合いにならなくていいというか、顔を覚えられなくていいところ。
 紅 匿名性が保たれる。
 と 普通の古本屋さんって客が値踏みされるじゃないですか。店主にね。
 紅 したしくなっちゃった古書店さんに入ると、買わなきゃいけないっていう変な
   プレッシャーがあるし、初めて普通の古本屋さんに入るとやっぱり店主の癖・個
   性が顔に出てるから、つかむまでに時間がかかるんですよね。」
 行きつけの本屋とか古本屋というのは、そこに働く人との間でなんらかの関係が生ま
れるものでありますが、どんなに回数を重ねてもほとんどなじみの関係にならないのが
ブックオフであるかもしれません。
 以前のブックオフでしたら、パートのおばさんで顔見知りとなるような人がいたもの
でありまして、レジでにこっとされて「ご不要な本があったらお売りください」といわ
れましたら、本を処分したほうが家庭円満ですよといわれたような気がしたものです。
 最近の行きつけのブックオフは、ほとんど若いスタッフばかりでありまして、その人
たちから、「ご不要な本があったら」といわれましても、おばさんのパートさんから
いわれたようには感じることがないのが不思議であります。
 最近でこそ年齢を重ねましたので、どこの古本屋さんへいきましても、店主の視線に
耐えることができますが、20代前半の頃には、店番のおばさんやご主人から牽制の言葉
や視線がとんできて、ゆっくりと本を物色するような気分になれずでした。古本屋の
書棚の前にたつ当方の雰囲気がよほど好ましからざる人物に思われたのでしょう。
(すきがあらば、本を万引きするような男に見えたかな。)
 どうしてもそうした店には、足が向かなくなったものですが、古本屋さんとブック
オフとでは、売られているのは同じ本であっても、それに込められている手間はうんと
違いますからね。値段が違うだけではありません。