無級建築士自筆年譜

 本日も「建築ジャーナリズム無頼」宮内嘉久さんからの引用です。

 「巨大建築に抗議するという著書のなかで、彼(神代雄一郎)はあえて
それまで誰もふれようとしなかった、NHKホールの科白の聞こえない客席、
国立劇場の舞台の見えない座席、・・巨大なスケールの仕事を手がける
建築家の姿勢に、疑義と批判とをぶつけたのだ。
 彼自身の継続してきたコミュニティ調査の結果に立って「規模」の問題に
戻り、建築家たちは、根無し草の巨大建築にばかり熱をあげるのをやめ、
『地域共同体の再建、供花』のための仕事にこそ力をかすべきではないか、
と訴えてその一文を結びんでいた。」

 上記の引用がありますページには、松村正恒が1958年に、愛媛県
八幡浜市のためにつくった「日土小学校」の写真が掲載されています。
この建築家松村さんには、「無級建築士自筆年譜」という著書があります。
生涯を八幡浜市在住の建築士として暮らしていた方ですが、この人のことは、
この宮内さんも、絶賛でして、彼の代表作、日土小学校は、「まさしく
地域共同体の再建、強化のための仕事」といえる建築とかかれています。
 松村作品で残っているものを見学してあるくツアーがあるようですが、
最近の耐震測定では、このような時代を表現する建物が、いつの間にか、
法律にあわなくなって、取り壊されていたりするのですが、この学校は
どうなっているのでしょうか。