「京都書院四条店」

 ちくま6月号にある間村俊一さんの文章をみましたら、なつかしい京都書院
四条店についての文章がありました。学生時代を京都ですごしたのですが、
70年代前半は四条河原町界隈にも本屋がたくさんあったのです。3月に
京都へといって河原町を三条から四条にかけて歩きますと、ほとんど本屋が
目にはいってきません。いつから学生の街といわれた京都は、こんなに本屋が
なくなったのだと繰り言をいってもしょうがありません。あの赤尾照文堂さえもが、
一階を明け渡して、二階にあがっているのには正直ショックでした。
 その昔は、この界隈にはけっこうユニークな本屋がありました。間村さんの
文では次のごとくです。
「 カラコロと下駄の音を鳴らせて二階へ上がる。当時、四条河原町にあった
書店、京都書院。鍔広の帽子に手をやった又三郎の赤いマントが風になびくと、
無数の朝顔が舞い上がり、鎌首をもたげた緑の蛇が足もとをねらっている。
唐十郎率いる状況劇場の『唐版風の又三郎』京都公演を告げる獄彩色の大阪
ポスターである。・・・・
 いまも寺町二条に健在な三月書房を初めとして、当時の書店の過激さといったら
なかった。本も演劇も音楽も渾然一体となってわれわれを挑発したものだった。
土方巽寺山修司アンドレ・ブルトンといった未知なるシュールレアリストたち
との出会いもすべてこれら本屋の店頭である。」 
 京都書院というのを検索しますと、いまは倒産した出版社のことがでてきますが、
小生にはなによりも書店でありまして、これは三月書房若主人のブログで確認を
することができました。メガ書店もよろしいが、小さくてもきらっと光るものを
もった本屋を大事にしなくては、後々後悔をすることになるのでした。