新本屋でバーゲン本 5

 ひょんなことからハンガリー文学者の徳永康元さんの著書を手にしていますが、当方
の関心は、もちろん古書蒐集家としての徳永さんにありです。徳永さんの「ブダペスト
三部作は架蔵してしていて、これまで拙ブログで話題としていないのが不思議なくらい
でありますが、それは格調が高くて、敷居が高いからでありますね。これまで徳永さん
の文章に言及したのは「関口良雄」さんを話題としていたときに上林暁全集月報によせ
たものについてでありました。この文章は、「ブダペストの古本屋」に収録されていて
最近は、容易に読むことができるようです。(筑摩書房の「ちくま」を定期購読し、
それで新刊をずっとチェックしているのですが、「ブダペストの古本屋」が文庫化され
たのが記憶に残っていません。これはとても不思議なことでありまして、購入した本を
メモしたものをみましても、この本はでてきませんです。こういうこともあるのです
よね。)

ブダペストの古本屋 (ちくま文庫)

ブダペストの古本屋 (ちくま文庫)

 徳永康元さんのものを読むようになったのが、どうしてであるのか判然としないので
ありますが、たぶん山口昌男さんの著作のどこかにあったものでしょう。
本とコンピュータ」という雑誌にも登場して矢川澄子さんなどと鼎談をしていること
もあったのですが、このへんはちょっと手元にそろえるにいたっていません。そのうち
といっているうちに、またうんと時間がたちそうです。
ブダペストの古本屋」から古本者宣言ともいうものから引用です。
「私は酒が飲めないせいか、若いときからいつも何かほかの道楽で気をまぎらわせて
きたようだ。・・
 一番長くつづいている道楽は古本あさりで、これは高校以来だから半世紀近いキャリア
ということになる。だが、古本あさりはどうしても専門の資料さがしと切り離しがたい
し、それに、これくらい年季を入れると道楽も幾分プロに近くなって、必ずしも楽しみ
ばかりとはいえなくなる。このごろのように、今日は神田の古書会館、明日は高円寺、
来週は五反田・浅草や横浜の古書展というように、無理に時間をやりくりして走り
まわらないではいられないのは、どうも因果な業だという気さえしてくる。」