平凡社つながり 11

 平凡社の「世界大百科事典」というのは、一時期は居間におかれた書棚に飾られる
ために販売されたような感じを受けます。箱入りの文学全集と百科事典は、居間に
欠かせないインテリアであったのかもしれません。アメリカーナなどもずいぶんと
売られたようですが、買った人はいまどうしているのでしょうね。
 当方の父も、「世界大百科事典」の簡易装幀のセットを購入していました。ほと
んどペーパーバックのようなもので、きわめて実用的なセットですが、たぶんこれが
一番安かったのでありましょう。
 紙の百科事典から、パソコンの時代となって、CD−ROMの時代があって、それ
をネットで見る時代となるまで、15年ほどであります。15年くらいというのは、紙
時代であれば構想をねって百科事典を世にだすまでの期間であります。
マイクロソフトは、1年間で初年度版をつくってほしいと、小林さんをはじめとする
日本のスタッフに求めたとのことですが、たしかにコンピュータの進化を前提にすれ
ば、そのくらいのスピードで発売しなくてはいけないのでしょうが、こういうデジタル
時代の発想こそ、地道な作業の積み重ねである百科事典の製作を困難にしているので
しょう。