肉親の命日も忘れてしまいそうになるのですが、4月は小生にとって恩の
ある文学者がおふたりもなくなっているのでした。おひとりは篠田一士さんで、
もうひとりは長谷川四郎さんであります。
長谷川四郎さんは、1987年4月19日に亡くなりました。81年10月に
入院して、それから5年半ほどの入院のあとに亡くなったのでした。
一周忌に間に合わせるようにして「山猫の遺言」という全集未収録の文章をおさ
めた単行本がでました。小生は、さっそく求めたのですが、それから10年ほど
たってみると、この本が、晶文社のカタログでディスカウント本になっていた
のは残念でありました。長谷川四郎さんの新刊はでなくなっているせいもあって、
とってもさびしく感じて、この「山猫の遺言」をディスカウント本でも購入した
のでした。
菅原克己さんという詩人は、なくなって相当になるのですが、彼の命日の
近くの日曜日には「げんげ忌」ということで、ゆかりの方々があつまっている
のですが、長谷川四郎さんの命日は、とくにそのような話も聞こえてこなくて、
これは残念なことです。
ファンである小生は、ただひとりで「山猫忌」と名付けて追悼をするのであり
ました。
長谷川四郎訳 ブレヒト詩集より
「ぼくに墓石は必要ないが」
ぼくに墓石は必要ないが
ぼくのかわりに一つ
それがきみらに必要ならば
それにこう記してくれ
− 提案したるは彼にして
採用したるは我らなり−
かく記することにより
名誉をうけるは
きみらとぼくの全員であろう