本日は 1987(昭和62)年4月19日に亡くなった長谷川四郎さんの祥月命日でありま
す。当方は、この日を「山猫忌」と名付けて、思いにふけるようにしています。
亡くなって30年ともなれば、その謦咳に接していた人たちも、どんどんと姿を消して
いくことになりです。
当方は生前に元気な姿をお見かけしたのは、長谷川四郎全集が刊行されたのにあわ
せ、札幌で開催されたサイン会の会場でのことでした。この時のことは、以前に記し
たことがありましたが、それからまもなく病気に倒れてしまいましたので、当方は
このあと元気な姿を見ることができずでした。
昨年に山猫忌を話題にしてから、なにか長谷川四郎さんに関して新しい資料などは
登場しただろうかと思いながら、本日をむかえました。
最近に手にした本で、長谷川四郎さんに言及している本といえば、次のものがあり
ました。
- 作者: 小沢信男
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2017/03/08
- メディア: 文庫
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読みますと、小沢信男さんにとって「将軍池」というのは、長谷川四郎さんを思い起
こさせるものであるということがわかります。「将軍池」というのはなんだろうと
思いましたら、ぜひとも「ぼくの東京全集」をのぞいてみてください。
この文庫本の「句集 東京百景」には「将軍池」として、次の句があります。
小紋散らし池を濡らすや春の雨
この句は、これまで発表された小沢信男さん全句集「んの字」には収録されていない
ように思われますので、ひょっとしますと新しい作品でしょうか。
そう思って、「将軍池と加藤山」を見てみましたら、これの最期のくだりに次のように
ありました。
「先輩長谷川四郎は、ここで死んだ。享年七十七、それきりご無沙汰している。
あの池畔に、また立つことがあるだろうか。」
この文章が本となったのは、1989年のことで長谷川四郎さんが亡くなった二年後。
「小紋散らし池を濡らすや春の雨」は、いつできたものかわかりませんが、将軍池を
再訪したことが機にできたもので、それこそ長谷川四郎さんの命日近くに将軍池を
訪ねて作ったと思えなくもなしです。
そういえば、小沢さんの全句集「んの字」には、「長谷川四郎ついに逝く」として
次の句がありです。
おおぞらのどこかくずれて黄沙ふる