小説家としてよりも

 小林信彦さんは、もともと純文学作家を目指していたのですが、
作品がなかなか評価されずで、ミステリー雑誌の編集者、テレビ
番組の企画などで名前をあげてしまって、本来の純文学路線にたどり
ついたのは、ずいぶんと後になってのことのようです。
このブログのタイトルになっているのは、結局のところ、小林信彦
さんの書名からいただいたようなかっこうになっていました。
ブログのタイトルを考えるときに、「本をまくらに」と一度したので
ありますが、これはずいぶんとたくさんの人が、つかっているよう
なので、捨ててしまいました。すぐに「本はねころんで」にしたので
すが、このときは、いまから30年以上もむかしに、趣味はときかれて
「寝ころんで本を読むこと」と答えたことによるのですが、それの
文字をいれかえたら、小林信彦さんのエッセイタイトルになって
しまいました。
 小林さんの本は、ほとんどが文庫本になっているようなかんじで
ありますが、小生は、そのなかではコラム、評論、芸能ものを愛読
しておりまして、小説類についてはほとんど購入もしていないので
ありました。(もちろん、小説でも自伝的なものについては、
読んでおりますが。)
 この人のものでは、「日本の喜劇人」に代表される喜劇人に関する
ものがすぐれていると思います。喜劇人が、老年になってシリアスな
役者を目指すことを「森繁化」と、小林さんはいいますが、このような
森繁化しなかった希有な役者が「由利徹」さんですね。
 このひとほど見事に、役者として出世しなかった人もいないと思うの
ですが、小林さんの小説よりも、こうした評論のほうが、小生のものの
見方に影響を与えていると思うのでした。
 同じく小説家でありますが、まったくその人の小説は読んでいなくて、
読書関係のものばかりを、小生は読んでいるという人に、池沢夏樹さんが
いますが、このひとの読書エッセイは、とっても有益であるのですが、
彼の小説はおもしろいのでありましょうか。