朝から雲ひとつない好天が夕方まで続きました。そういえば、本日は
特異日でありました。もともと戦前までは明治節と呼ばれていましたので、
さすがに明治の大君は、後世までもお天気に影響を及ぼして、語り継がれる
ことになるのかでありますが、明治節となるはるか前から、この日は特異日な
のでありました。
戦前は明治節で、戦後はこれが文化の日、もちろん明治はよかった文化の
日ではありませんです。明治維新150年とかですが、それであれば日本の天皇
が神でなくなったのを元年とするのもありでしょう。
本当にお天気がよかったので16時くらいから散歩にでかけました。当地は、
この時間くらいに日の入りとなりまして、西日を背中に受けての歩行です。
日が低くなっているせいもあって、当方の影が前方のほうに長く伸びるのであり
ました。長い影かなということで、小林信彦さんの本のタイトルを思い浮かべる
のです。
散歩から戻って、この文庫本をひっぱりだしてくることになりです。小林さんは
「日本の喜劇人」に収録されている森繁論を「森繁の影」というタイトルにしてい
ますので、この文庫に収録の「森繁さんの長い影」というのは、前の文章を書いて
から何十年もたって、なおのこと大きな存在感をたもっている森繁へのオマージュ
であります。
森繁というと喜劇も演じる俳優としては初めて文化勲章を受けたのでした。
これが1991年のことで、亡くなったのは2009年ですから、ずいぶんと長命であり
ました。
「森繁さんの長い影」というと、やはり森繁のあとに続く役者たちがその影の
なかにいると受け取れますね。たとえば、西田敏行さんあたりに。
本日に散歩をしていて西陽を浴びながら、自分の先のほうにジャコメッティの
ように伸びている影を見ていましたら、「長い影」というのは、自分の後ろにもでき
るものだろうかと思ったことです。(なんのことはない、西陽に向かって歩いていっ
たら、影は自分の後ろにできるのかな。)