暮らしの手帖編集長

 「暮らしの手帖」というと花森安治編集長の、強烈な個性で
なりたっていた感があります。小生がはじめて手にしたのは
まだ花森編集長が健在のときでありました。広告に依存しない
方針で、商品テストを実施して値段に惑わされず、本当に
良いものを購入するようにということで、やっていました。
 小生の世代には、この方針は受け入れられて、小生が最初に
買ったカメラは、この商品テストで上位になっていたもので
あります。いまはなき「ヤシカ エレクトロ35」ですが、
ろうそくの明かりで写真がとれるというのが売り文句でした。
レンズが明るくて、シャープでした。購入してから20年ほど
つかえていたのですが、シャッターがうまく落ちなくなって
修繕してもはかばかしくないので取り替えましたが、この
商品などは、「暮らしの手帖」の推薦がなければ購入しな
かったかもしれません。
 花森安治さんは、「一銭五厘の旗」という本をだしていますが、
これはとってもすばらしいもので、本づくりにこだわる花森に
ふさわしいもので、見事なできになっています。これは最近も
入手可能なようですが、やはり花森が生きていた時代のものの
ほうが、本としては上等になっています。
 花森がなくなってからは、片腕であったかたが編集を担当して
刊行を続けていましたが、やはり伝統の雑誌を引き継ぐというのは
たいへんであります。
 最近は、新聞の広告をみてでたことをしっても、書店で手にする
こともなしで来ていました。ところが、昨年くらいから、古本など
についての文章が掲載されるようになって、これはどうしたことかと
思っていましたら、古本に関係したところから編集長が誕生
したと知りました。編集長交代で、営業成績がめざましく向上すると
いうこともなしでしょうが、このような思い切った人事がなされると
いうことは、それだけ状況がよろしくないということでしょう。
 松浦弥太郎さんという新編集長による「本業失格」という本が
集英社文庫にはいりました。6年以上もまえにでたものであります
ので、本人がかくところには「暮らしの手帖」の名前はありません。

 そういえば、「本の雑誌」も椎名誠、目黒こうじが第一線をひいて、
次世代に引き継がれているようです。このユニークな雑誌が「暮らしの
手帖」の二の舞にならければよろしいのですが。