マッハ三四郎を思い出す。

 今週のNHKBSではアカデミー賞の受賞作品をやっております。
先日は、小生がひいきにしているジュリエットビノッシュが助演した
「英国人の患者」をやっていまして、これはDVDに録画をしたので
あります。世界史の知識がなくてはいけないものでして、
たんにすけべごころで見ておりましても、半分もわからないか。
 今は、ハンフリー・ボガードイングリット・バーグマン
カサブランカ」です。デジタルリマスターをしてあるのでしょう。
たいへん状態がよろしいことで、白黒映画のコントラストが美しい。
もちろん、イングリット・バーグマンの美しさもひきたちます。
(この両作品は、最近手にしています「占領下パリの思想家たち」に
時代がかぶります。)

 さて、本日はひさしぶり映画館で映画をみてきました。
昨年は、ひさかたぶりかで邦画収入が洋画のそれをうわまわったのだ
そうです。小生が昨年に見た映画も邦画のほうが多かったかと
思うのでした。とは、いっても一年に3、4本しかみないのですから、
邦画の復活に力を貸したとはいえません。
数が少ない割には、良い作品をみているようで、昨年にみたものには、
バックダンサーズ」「かもめ食堂」「「ゆれる」というものが
ありました。「フラガール」はいつもであれば、見逃さないので
ありますが、これはなぜがパスしてしまいましたら、あちこちで
ベスト1になっていました。

 本日の映画は「世界最速のインディアン」です。
 「インディアン」というのは、オートバイのことであります。
いまではバイクというと、日本製が一番になっていますが、それは
ホンダがイギリスマン島レースに初参戦した55年以降のことであり
まして、それまでは、世界各地にバイクメーカーがあったのでした。
今、世界でどのくらいバイクメーカーがあるのか知りませんが、
ハーレーとかBMWとかの高級品をのぞくとほとんど名前をききませんね。
 インディアンというのは50年代くらいまであったUSバイクで、小生も
こどものころに名前を聞いたことがあったように思います。(子供の頃は、
日本にもいろいろのメーカーがあって、とーはつ、めぐろ、くろがね、
らいらっくなんてのを目撃したことがありました。ライラックをのぞくと
ほとんどが軍用バイクのようでした。)
 映画で見るバイクというと、小生の世代には「大脱走」のマックイーンと
イージーライダー」のデニス・ホッパーの映像が思い浮かびます。
マックイーンがのっていたバイクはなんでしょう。調べるとすぐにわかる
はずですが。 

 「インディアン」の主人公(アンソニー・ホプキンス)はニュージーランド
居住するバイクマニアで古いバイクを改造しては、スピードレースに挑戦を
している人です。すでに仕事を退いて、年金暮らしですが、生活のほとんどを
バイクの高速化に費やしているのです。ニュージーランドのいなかでどんなに
がんばっても認められない。やはり高速コースであるUSAユタ州のソルト
レイクにいって、ここでの大会にでなくてはと62歳になってから一念発起
するという物語です。
 結果は見てのお楽しみですが、歳をとってますます盛んな主人公をみて
いますと元気がでることです。

 ユタ州にこのようなコースがあるというのを、小生は昔に読んだ漫画で
知っていたのです。これが表題の「マッハ三四郎」です。
少年マガジンに60年くらいに連載されていたとありましたが、ちょうど
そのころに、小生は超いなか暮らしをしておりまして、電気がかよって
いなくてテレビも見ることができないということで、少年マガジンを定期
購読してもらったのです。その時代に「マッハ三四郎」がありました。
 今回のインディアンと、話は同じようなものでして、たしか最後の
ほうではユタ州のコースにバイクをもっていって音速に挑戦をするのでは
なかったか。バイクはカバーリングがされている流線型で、それも本日の
バイクを彷彿とさせます。
 あの漫画は、このような背景をおさえていたのかと、当時はまだまだ
海外話題を知ることができなかったので、40数年もたってから、昔に
みた漫画のことを思い出すのでありました。

 「マッハ三四郎」を見た記憶がある人には、この映画はおすすめであり
ます。べらぼうなお金をかけなくても、有名な役者はでていなくても、
心にしみる良い映画はあるものです。難点は、すこし善人が多すぎることで
あるかもしれません。ほとんど悪人がでない作品というのは、大甘ですが、
アンソニー・ホプキンスという人は悪役としてならした役者ですから、
まあいいかです。
 たぶん、見ておいてよかったという感想をいだくはずです。
おすすめの4星半ということで推薦をします。