私の「裸の大将」

 「ちくま」11月号が届いていますが、これは最近も引き続きで興味深い
連載がたくさんあります。小生が楽しみにしていた「石堂淑朗」さんの連載が
終わったあとは澤田隆治さんの「平成コメディアン史」が始まりました。
澤田さんは、自ら番組を制作し、新人芸人を育てて、喜劇に関する著作も
発表するという、ある意味で人間国宝のような存在であります。
 今回は、連載の3回目ですが、取り上げられているのは芦屋雁之助さんで
あります。

「 絶妙な演技で山下清を演じた芦屋雁之助さんが亡くなって三年が過ぎた
今年、『裸の大将放浪記』が十年ぶりに復活した。『ドランクドラゴン』の
塚地武雅山下清を演じ、9月1日に放送時間二時間十分の長尺で放映された。
 これで雁之助『裸の大将』から塚地『裸の大将』へのバトンタッチはうまく
いったという幸せな思いにしばしひたりながら、私はここにいたるまでのことを
思い出していた。・・・」
 
 澤田さんの文章によりますと雁之助さんの当たり役となった「裸の大将」が
テレビ番組「花王名人劇場」で放映されたのは、昭和55年(1980)6月と
あります。これから断続的に平成9年まで続いたのそうです。
こんなに長くやっていたし、雁之助にも興味はあったのですが、これを小生は
ほとんど見ておりませんでした。どうしてかはわかりませんが、小生のなかの
「裸の王様」のイメージが、たぶん、映画で主演した「小林桂樹」のもので
確立してしまって、雁之助さんの清さんにちょっと違うなと感じたのでしょう。
 最近になって、山下清さんの映像をみたりしますと、むしろ雁之助さんの
ほうが、実物のイメージを良く生かしているとは思うのですが。
 映画は、60年ころのものでしょうから、小生は小学校の4年くらいですか。
どこで見たのか、ほとんど思い出せないのですが、小林桂樹の「裸の大将」を
映画で見まして、ランニングに半ズボン、そしてすこし吃音というのは、
この小林桂樹さんの役作りでもありました。あの時代は、小林さんの清さんでも、
十分にアホっぽいと思ったものですが、やはり役者さんが立派すぎたのかもしれ
ません。
 これからの山下清のイメージは、雁之助さんから塚地さんの流れでしばらくは
定着するのでしょう。