月がかわって 3

 本日は、ひさしぶりに土曜休みであります。土日休みは有効につかわなくてはと
思っていたのですが、本日はまずは映画館へです。
 当地のミニシアターが、本日より一日一回「ハンナ・アレント」の上映でありま
して、それを見物にいきました。初日でありますので、いつもよりは多くの観客で
ありまして、40席のところに10人とちょっとはいたでしょう。
 しかしそれにしても「ハンナ・アレント」を主人公として映画をとろうとした人は
どういうひとなのかであります。
最近は映画についてうといせいもあって、主人公役の役者さんがどのようなかたかも
知らないのでありますが、圧倒的な存在感に驚きました。

 アイヒマン裁判の映像も挿入されて、とってもリアルでありました。アイヒマン
拘束されたことは、当時のニュースで記憶をしています。裁判のことは、開高健さん
なんかもドキュメントしていたのではなかったでしょうか。
重いテーマでありまして、小生はあまりに立派であることから、英国のサッチャー
かぶったりもしたのでありますが、アイヒマン一人を罰して、何の意味があるのかと
いうことと、ユダヤ社会にも疑問をなげかけるというのは、ひとつ間違えれば、
とんでもない人となりますね。
 このアイヒマン裁判についての文章が発表されたのは、雑誌「The New Yorker」
であったということを知りました。映画最後のクレジットをみましたら、その編集
者で、アレントの親友がメアリー・マッカーシーであるということもわかり、一度
では味わいつくせない作品であります。
 たしか小生のところにもハンナ・アレントの読みやすい本が何冊かあったはず。
ブログでとりあげたのは、アレントハイデッガーという本で、これを読んで、
二人が愛人関係にあったことを知ったものです。
 この映画など、自宅ではとうてい見ようという気分にならないもので、やはり映画
は映画館であります。
 感動したとはいいたかないが、主演の演技には恐れ入りました。
 ハンナ・アレントを演じたのは、バルバラ・スコヴァさんという50年2月生まれの
女優さんで、この作品の監督さん(女性)とは前作 「ローザ・ルクセンブルグ」以来
のことのようです。この監督は、ただものではないですね。