ぼくの伯父さん

 福島紀幸さんによる「ぼくの伯父さん 長谷川四郎物語」を読んでおりました。

ぼくの伯父さん: 長谷川四郎物語

 読んでも読んでも読みつくすことができない長谷川四郎さんについての本で

あります。なんとか最後までページをすすめることができたのですが、これは

長谷川四郎さんの文学世界への新しい一歩を踏み出すことを意味します。

この福島さんの本を参考にしながら、四郎さんの作品を読んでみなくてはです。

 当方が四郎さんの作品を読むようになったのは、1970年の初め頃のことで、

本を集めるようになったのは、73年に刊行となった「知恵の悲しみ」以降であ

あります。

 当方は22歳で、四郎さんは64歳となります。それから45年も経過して、

当時の四郎さんの年齢を超えてしまったのですが、この時期の四郎さんの

生み出す作品の若々しいことであります。

 ちょうど復刊なった「ユリイカ」に連載するようになって、ここを舞台に印象に

残る作品が生まれました。それが「ぼくの伯父さん」であります。これがすごく

斬新なのでありますが、当時はわけのわからん小説(小説といえば、筋を追っ

て読むものと思っていたのですね。)と感じていました。

 やっと四郎さんに時代は追いついてきたのでありましょう。

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うそつきは

 先日の新聞広告に「うそつきは」という全面のものがありまして、これには

驚きました。ずいぶんと話題となったようでありまして、当方はほとんど縁の

ない会社のものではありますが、ここは、毎年のように話題となる広告をだして

いたとのです。

 例年元旦の新聞は出版社のものが眼をひくのでありますが、今年は掲載さ

れていたのでしょうが、まるで記憶に残っておりません。出版不況で余裕がない

のでしょうか。ちょっと残念でありますね。

 岩波の2019年新企画をみて、ほほうこれはと思ったのは「関孝和全集」で

ありまして、これはたぶんすごく時間のかかった企画であるのでしょうが、残念

なこと当方にはまったく縁がなしであります。図書館とか研究機関以外で、

どのような人が購入するのかな。

 岩波の1月のラインナップを見ていましたら、気になるものがありました。

「日本の中の世界史」というシリーズの一冊になりますが、中島敦についての

ものがありました。

 なんとなく川村湊さんが書きそうなテーマでありますが、中島敦さんは少年

期を朝鮮で過ごしていたというのは、頭にはいっていませんでした。中島敦

なかで、朝鮮と南洋はどのようにつながるのか、これはどこかでのぞいてみる

ことにしなくは。

これを機会に

 先日にブックオフで購入した「惜櫟荘だより」を読むことになりです。

長期にわたって「図書」に不定期連載となっている佐伯さんの「惜櫟荘」も

のですが、いまは連載の第二部ともいえる「惜櫟荘の四季」というタイトルで

26回目を数えていました。岩波書店佐伯泰英さんの結びつきには、ほんと

意外感ありです。

 この「惜櫟荘」シリーズの第一部はこの建物を入手し、それの大規模改修

するのが軸で、それに過去のスペイン時代の思い出が挟み込まれていきます。

佐伯さんは、売れないカメラマンとしてスペインでフリーの生活を続けるので

すが、その時にであったのが永川玲二さんであり、堀田善衛さんであります。

 今時に永川さんの思い出を書くのは、佐伯さんくらいでありまして、この本

を読む楽しみの一つにもなります。「図書」に連載時に、これは話題としてい

ますので、これは、その時記事を見てもらうことにしましょう。

vzf12576.hatenablog.com 堀田善衛さんのスペインからの便りものにも堀田さん宅の居候で、雑用係

であった佐伯さんは登場するのでありますが、佐伯さんから見た堀田夫人が

これには描かれています。

「堀田夫人はふだん寡黙で、独りレース編みなどで静かに時を過ごしておら

れた。だが、一度夫人の勘気に触れると老練な編集者も出版社の重役も

容赦なく怒鳴りつけられ震え上がった。

 作家堀田善衛のマネージャーでもあるのだからある意味では致し方ない、

時には激怒するふりをするときもあったろう。ともあれ、夫人の逆鱗に触れた

編集者のだれかが言い出したか、『逗子のライオン』と呼ばれていた。」

 先月に堀田さんの娘さんによる「ただの文士」を図書館より借りて読んだ

のでありますが、このなかには、スペイン時代の堀田夫婦に言及するところも

あるので、そこのところに佐伯さんは登場するかなと楽しみにしていました。

 たしか一ヶ所にSさんとかあったくらいで、ほんとほとんど登場しないといっ

てもいいくらいで、これが堀田善衛さんの書くものと印象の違うところです。

 どうやら、娘さんのほうはほとんど接点がなかったのでありましょう。

ただの文士――父,堀田善衞のこと

一日かかりで

 先日に「TVチャンピョン」という番組を見ていましたら、パン作り職人

さんの対決でありまして、その対戦のひとつにそれぞれでクロワッサンを

作るというコーナーがありましました。

 これを見ていましたら、クロワッサンが食べたいねという声があがって

きて、そうだこの休み期間中にクロワッサンを作るというのもありだなと

思うのでした。

 当方のところのパン作りは、思い立ってから作業にかかるまで思いっ

きり時間がかかることでありまして、それから天然酵母中種を仕込むの

でありました。まずは、早くて、この仕込みに半日は必要となりです。

 それから粉と牛乳と中種を混ぜて、軽くこねて発酵ですが、これがまた

半日。昨晩の夜に一次発酵に入りましたら、今朝には発酵が終わっている

と思っていましたら、これがさっぱりで、朝から継続しての発酵で終わった

らすでに昼頃となっていました。

 それからバターをはさんでのしの作業を、冷蔵庫で生地を休ませながら

で三つ折三回であります。

 切り分けしてから成型して、二次発酵してから焼くのですが、焼き上がっ

たら、粉を混ぜてからでも1日が経過していました。なんというスローライフ

でありますことか。

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 クロワッサン作りの作業の合間に、山尾悠子さんの「飛ぶ孔雀」を手にしておりま

した。ほんとまったく理解できない(理解しようとするのが間違いか。)のであります

が、不思議な味わいがありです。

「孔雀はまず火を盗みに侵入してきた双子を威嚇して事をおおごとにし、そのあと

北回りで行くスワのあとを追った筈だったが、同時にタエの前にも現れたらしい

というのは果たして同一の飛ぶ孔雀であったのか判然とはしない。」

 なんだなんだでありましょう。

飛ぶ孔雀

本日解禁に

 年末にインフルエンザに罹患して、それから平熱に戻って3日経過したこと

により、やっとこさで外出ができるようになりました。大晦日に当番医へといっ

てから、久しぶりのことであります。

 ということで、夕食の材料を購入にあわせて、今年初めてのブックオフであり

ます。もうすこし足を伸ばして新刊本屋とも思いましたが、これは明日に近くま

でいく予定がありますので、その時にです。

 今朝の新聞を見ましたら、文春文庫から小林信彦「本音を申せば」がでて

いますので、明日はそれを確保しなくては。

映画狂乱日記 本音を申せば12 (文春文庫 こ 6-38)

 うまくリンクがはれていないですね、まあいいか。たぶん、このくらいからは

単行本となった時に購入しているはず。小林信彦さんは、一時期入院されて

いて、連載は中断し、このまま新しい文章が発表されることはないのかと思っ

たときに、単行本を買うようになったのです。

 これは明日の話で、本日のブックオフで購入したものであります。

惜櫟荘だより (岩波現代文庫)

 岩波「図書」に連載されたものが単行本となって、さらに文庫化されたも

のです。佐伯さんの文庫本は、ほとんど買ったことがないのですが、これは

「図書」で読んで、単行本を買って、さらに文庫でも購入することになりです。

普請道楽という言葉がありますが、昭和18年に岩波茂雄が建てた別荘を

買い取って、大修繕するという散財のお話。このような社会貢献もありです。

 このほかで買ったのはお勉強のもの。

昭和史-1945 (平凡社ライブラリー)

 

昭和史戦後篇 (平凡社ライブラリー)

 昔でありましたら、右寄りの立場からの歴史といわれたのでありましょう

が、最近はどっと右に軸がふれているので、これでさえ真ん中より左に思え

てしまうという不思議。どんなふうに描かれているのか、なかをのぞいて見

ることにします。

なんとか最後まで

 年明けとほぼ同時に読みはじめました「ニュルンベルグ合流」の最後の

ページになんとかたどり着きであります。この厚さでありますので、読むことが

できるかなと思っていましたが、そんな心配はありませんでした。ナチの戦争

犯罪についての法律議論のところは無理に深く読まないで、著者の家族の

歴史について読むことになりです。 

 著者は1960年生まれで、調査を始めたときにはすでに亡くなっている

祖父(1904年生まれ)の足跡を追うことになりです。資料が亡くなっているの

は日本も外国も同じでありましょうが、それを丹念に拾い集めながら、関係者

の話を聞き取り、公文書館などを調査して形を作っていきます。

これは歴史の本ではないのですが、それでもこれをおろそかにしますと、ヨタ話

に堕してしまいます。

 この本がいろんな専門家から評価を受けているということは、そこのところ

がおろそかになっていない証拠でありましょう。

 訳者のあとがきのところに、次のようにありです。

「人権は人種、文化的背景などとは無関係だと強調する彼は、世界の一部、

一部の民俗、社会の一部が特権を得る状態を嫌悪し、『我々』と『彼ら』という

分断を危険視する。 

 こうした立場を取る彼は、英国のブレグジットに愕然とし、社会の分断に力を

得たトランプ政権を避難する。歴史的に国際法という分野の二大推進力で

あった国々(英国と米国)が揃いもそろって『国際的』でなくなりつつある現象

を、彼は国際法学者として懸念しているのだ。」

 この時代に、こういうきちんとしたノンフィクションを読むというのは意味が

あることと思うのですね。今も世界のあちこちで人々への迫害は続いておりま

してナチズムは悪いことばかりではないといった大物政治家は、この国にも

おりましたが、そういう認識の政治家がきわめて重要なポストに居座り続けて

いるというのに、なんの不思議も感じなくなっているのは感覚が麻痺している

からでありましょう。

ニュルンベルク合流:「ジェノサイド」と「人道に対する罪」の起源

やっと紅白を

 本日は夜になっておせちをいただきながら、すこしお神酒を含みました。

なんとなくお正月がきたという感じです。

 その前におくればせでありますが、録画してあったNHK紅白を早送りで見る

ことになりです。今年は歌合戦というよりは歌謡祭でありまして、ベテラン歌手

による特別ステージが話題となっていました。

 その昔でありましたらベテラン歌手といえば、演歌系ときまっていましたが、

最近のベテランといえば松任谷由実、桑田率いるサザンと非演歌路線が中心

となりです。

 とりあえず、ユーミンがどんな曲をどのようにやるのかに関心がありました。

彼女の歌のほうはともかくとして、何を、どのようにやるのかです。

二曲やって、どちらも荒井由実時代のものでしたが、一曲は松任谷時代でも

よかったかなと思うのですが、会場にいる人には、これでよろしいかな。

 古くからのユーミンファンを喜ばせたのは、間違いなしでバックバンドの面々

でありました。これについて、司会をしていた櫻井翔くんがゴーカなメンバーで

すねととても重要なコメントをしたのですが、それを司会の内村くんがきちんと

受け止めることができなくて、これは本当に残念なこと。このユーミンのステー

ジは、このバンドがあって成立するのですね。

 もちろん、会場にいない昔からのファンたちは、このティンパンというか、

キャラメルママというかに反応したのですよ。せっかく櫻井くん(見なおしたぜ)

が、その親たち世代にアピールしたというのにね。

 当方は、この伝説のプレヤーたちのライブをTVを通してでも見て喜んだの

でありますね。当方の関心の的は、ギターの鈴木茂さんでありまして、あの曲

をどのように弾いているのかと思ったのであります。鈴木さんについては以下

のところにも記しているのですが、紅白で使っていたのは愛用のギターであ

りまして、たぶん、この音は、このギターでしかでないのです。

 ベースが細野さんならベストだがという人もいるでしょうけどね。

vzf12576.hatenablog.com 小西康陽さんも大推薦の鈴木茂さんのギターソロが間奏で流れます。


Yumi Matsutoya - 何もきかないで (Nani Mo Kikanaide)