新刊本屋にもいきたいこと

 新刊をならべている本屋に、前回いったのは今月10日でありましたので、そろ

そろ二週間となります。新聞の広告はチェックしているのですが、行きつけの本屋に

はどのような本がはいっているかな。

 最近の新聞広告で目についた本といえば、次のものがありました。

堀田善衞を読む: 世界を知り抜くための羅針盤 (集英社新書)

堀田善衞を読む: 世界を知り抜くための羅針盤 (集英社新書)

 

 堀田善衛さんについて、このような本がでるのはジブリ宮崎さんの後押しがある

からですね。今回の新書にも大きな帯がまかれていて、それには堀田さんの写真と

宮崎駿さんの推薦文がついていました。

 堀田さんと同時代で活躍した作家さんのなかで、このように光があたるというの

は、ジブリのおかげでもあるでしょう。もう15年ほども前のことになりますが、

ジブリと関わりの深い徳間書店から「路上の人」ほか二冊が、復刊されて驚いた

ことがありました。

 今回の新書は、堀田さんとつながりの深い集英社でありまして、一時期集英社

文庫にはずいぶんと堀田さんの本が入っていました。それにちくま文庫にもであり

ますが、今はどのくらいが生きているのでありましょう。

 今月には、堀田さんの娘さんが書いた「ただの文士」という本が刊行となりまし

た。これはどうしたことか、岩波書店からであります。

 

  検索をしてみたら、なんのことはなし今年は堀田善衛さんの生誕百年でありま

した。それじゃ、同年生まれの作家にどなたがいるのかと思ったら、福永武彦

小沼丹がそうであるとのこと。

 このお二人についても、今年は生誕百年キャンペーンはあるのでしょうか。

地震の影響?

 本日のお昼近くに外出をしたとき、TSUTAYA系の古本をおいてある店を

訪れました。ずいぶんと久しぶりのことですが、そういえば、すこし前に通りか

かりましたら、店を閉めて改装していました。

 どんな店になったのかなと思って、本日に売り場をチェックしましたら、二階

の上がり口にロープがはられ、そこには地震の影響で、二階を閉鎖しましたと

書かれていました。

 先日に閉店しての作業は、二階の商品を一階に移動し、それに伴うレイアウ

ト変更によるものであったようです。

 地震の影響が、この建物にどのような影響を与えたのかわかりませんが、

地震のせいか、それとも最近に市内にもう一店舗増やしたことで、売り場面積

を縮小したのか、さてどちらでありましょう。

 この改装で、当たり前のように本の売り場は縮小され、場所も入り口から

すこし遠くになりました。コミックも含めてでありますからして、一般の書籍など

は、うんと少なくなったように思いました。

 本日は時間があまりなかったので、百円のところだけを見て歩いたのです

が、この単行本(2012年刊で定価2000円)とあの文庫本(2014年刊定価

740円)がどちらも百円で入手できました。

 ほんと、著者にはお気の毒なことでありまして、本の中身と、この店での値付

けには、まったく関係はないのですが、新刊書店では定価でならんでいると思わ

れるものが、百円で売られているというのが出版の現実ですね。

当方が買うのでありますから、どちらもそれなりの著者のものでして、原稿料と

本の印税で生活するというのは、よほどでないかぎり、無理であるようです。

 いつもでありましたら百円で本が買えたらうれしいーとなるのですが、本日

はすこし残念な思いがして、本日の収穫の書名と書影を掲げるのは取りやめ

であります。

心をつかむ

 先日のTV「美の壺」は「心をつかむ 本の装丁」でありました。ほぼ毎回

見ています「美の壺」ですが、「本の装丁」についてということで、録画をし

ながら見ておりました。

 本日、この番組を話題にするにあたっては、録画を再生したものをながめな

がらであります。

 「本の装丁」といえば、当方の好みの話題でありますが、当方の好みが偏って

いるせいもありまして、ほとんど知らない人もいましたですね。

最初のブックカフェの客人で、へんてこな帽子をあたまにのっけているのは河上

進さんだろうかと思いましたが、この画面では、特に紹介されることもなしで

す。

 装丁家としては川名潤さんと坂川栄治さんが登場していました。坂川さんに

ついては北海道出身ということで、拙ブログでも「遠別少年」で話題としたこ

とがありました。

遠別少年 13のストーリーズ (光文社文庫)

遠別少年 13のストーリーズ (光文社文庫)

 

  遠別町というところは坂川さんの出身地ですが、同じ北海道に住んでいても、

その町がどのあたりに所在するのか知っている人はすくなそうです。当方もいま

だに足を踏み入れたことはありません。人口三千人を切った小さな町 遠別が

人に知られるとしたら、それは「遠別少年」のおかげでありましょう。

 そして川名潤さんですが、名前を聞いてもすぐにあれねと作品を思い浮かべる

ことができなかったのですが、川名さんの背後の棚にあるものを見ましたら、

小生も持っているものがありました。これを装丁した人かです。 

  製本のワークショップの様子も紹介されていて、それの先生が手掛けた本も写し

だされていました。そこには、当方のところにもある本が目にはいりました。

望月通陽さんのファンでありました「仙台が親戚」さんかにプレゼントしていただ

いたものですが、このようにして作られた本であったとは、この番組を見るまで

知りませんでした。せっかく贈っていただいたというのに、なんと粗末にしていた

ことか。本日はこれを見て、「仙台が親戚」さんのことを思いだすこととなりまし

た。

せんはうたう

せんはうたう

 

 

 

ドライブ日和

 ここ何日かはお天気が安定して秋の行楽日和となっています。

 朝夕の気温は低いのですが、日中のおひさんが出ている時間は、上に羽織るもの

もいらずです。このお天気に誘われて、紅葉見物も兼ねて山越えドライブでありま

す。目的地はなじみの果樹園となりです。

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 毎年、この時期に一度足を運んで大きな袋にはいった規格外のりんごを購入です。

このりんごが毎朝飲むスムージーの材料となります。(スムージーは、りんごに

にんじんと国産レモンをあわせて、それに亜麻仁オイルです。)

 この果樹園から提供のりんごが、これから数か月のスムージー生活を支え、りん

ごのお菓子つくりの材料にもなります。(ちなみにりんごのお菓子を材料となる

紅玉は11月に入ってからの収穫となりますので、これは送ってもらうことになり

ます。やはり、それも規格外です。)

 この他で買ってきたのはプルーンでありますが、それ以外にもぶどうなども販売

されていて、食指が動きましたが、そんなに買ってどうするかです。

この時期は果物の種類が多くて、それを見ますと、これを使って酵母液を作ったら

どうなるだろうかと思うことです。

 果物を発酵させて酵母液をつくり、それに強力粉をまぜて、天然酵母種をおこし

て、それでパンを焼くのでありますが、これまでりんご、ぶどう、プラムなどで

酵母種を作っているものの、さっぱりその違いがわからないというなさけなさで

あります。

 この週末は、パンを焼いたり、栗ペーストを作ったり、パイを焼いたりで、なか

なか忙しいことになります。さて、このあとは栗の皮むき作業です。

周作人随筆

 昨晩に通夜から戻ってきて家に入ろうとしましたら、遠くのほうから鳥の鳴き声が

聞こえてきました。この時期のことでありますから、夜に鳥の声といえば、渡り鳥の

集団となります。夏の間を過ごした北の地から、越冬のための南の地へと移動であ

ります。月がほとんどでていないせいもあって、声はすれども姿は確認することがで

きずであります。この鳥の渡り、今月いっぱいはあるでしょうが、果たして目撃する

ことはできるでしょうか。

 昨晩は通夜で、本日の午前は法事となりです。このところ、数珠を手にしてお参り

することが多くなっているようです。これも年齢のせいでありましょうか。

 本日も「周作人随筆」を手にしながらつまみ読みしておりました。冨山房百科文庫

の「周作人随筆」は、昨日に貼付けしましたようにシリーズの最終巻となったもので

す。冨山房百科文庫は、スタートしてからずっと表紙はコーティングされた白い厚紙

でしたが、終わりころになりますと、この白い厚紙にかえて、かっての表紙にすりこ

まれていたマークがプリントされた茶色の厚紙となり、それにカラーのカバーがかか

るようになっていました。なんとなく、イメージが統一されていなくて違和感があり

ますね。読むには、まったく関係はないのでありますが。

 周作人という人は、著名な魯迅の弟でありますが、当方もこの本を手にするまでは

それ以外のことは全く知らずでありました。それにしても、1920年代において親

日であるという経歴は、その後の人生にどのような影響を与えたかであります。

 この百科文庫版のあとがきを書いている木山英雄さんの文によりますと、次のよう

にあります。

「周作人に関しては、その人が抗日戦争の対日協力のかどにより、国民政府の『漢

奸裁判』にかけられて下獄し、さらに人民共和国のもとでも同じ汚名を負ったまま

閉門蟄居を余儀なくされたのを、辛い思いではるかに気づかいながら」

 気づかったのは、この本の翻訳者である松枝茂夫さんですが、自分が惚れ込んだ

文筆家が、その国の事情によって、活動を制限されるようになるというのは、なんと

もつらい話であります。

「先生(訳者の松枝さんのこと)があるよる酒を酌みつつ、周さんは寂しいだろうな

あと呟いて涙ぐまれたのを、併せて思いだす。それすら、当の人(周作人さんのこ

と)がやはりあの汚名を理由として、文化大革命の少年戦士に八十過ぎの老躯を翻弄

されたすえ、まるで捨て置かれたように生涯を閉じた消息が伝わるよりもずっと以前

のことで」

 こういう時代に生きるというのも運命でありますね。

敬意を表して

 周作人さんの冨山房百科文庫版を手にしていましたら、今はあまり眼にする

機会のなくなったこの文庫(サイズは新書版でありますが)は、良かったよな

と思うのでした。どのくらい購入しているかなと思いましたが、全巻リストは

冨山房のページにもなくて、京都三月書房の通販ページにありましたので、こ

こからコピペさせてもらいカウント中であります。(十二冊くらいかな)

 冨山房百科文庫は旧版のシリーズもあるのですが、以下にはりつけたのは、

新版のみであります。

 一冊目が高杉一郎さん「極光のかげに」で、三冊目が「1946・文学的考察」

というのに、当時大喜びして購入した記憶があります。 

01 極光のかげに〔新版〕 高杉一郎
02 青春の回想  テオフィル・ゴーチエ著
03 1946・文学的考察 加藤周一中村真一郎福永武彦
04 エゴチスムの回想 スタンダール著、福永明夫訳
05 詩人の手紙 ジョン・キーツ著、田村英之助訳
06 新しき村の創造 武者小路実篤著、大津山国夫編
07 喜びのおとずれ C・S・ルイス自叙伝 C.S.ルイス著
08 日本人論         生松敬三著
09 ルネサンス ウォルター・ペイター著、別宮貞徳訳
10 昭和詩鈔         萩原朔太郎
11 美学芸術論集 フリードリッヒ・シラー著、石原達二訳
12 夷齋筆談         石川淳
13 冒険家の食卓 ロジェ・ステファーヌ著、権寧訳
14 東京の風俗      木村荘八
15 月曜閑談 サント・ブーブ著、土居寛之訳
16 第二の青春,負け犬      荒正人
17 ロマン派文学論 Fr.シュレーゲル著、山本定祐訳
18 退屈読本 上         佐藤春夫
19 七日七たび   エマニュエル・ダスティエ
20 おらんだ正月:江戸時代の科学者達 森銑三
21 退屈読本 下         佐藤春夫
22 カラス事件     ヴォルテール著、中川信
23 近代の超克   河上徹太郎竹内好[ほか]  
24 児童の世紀 エレン・ケイ著、小野寺信/百合子訳
25 クレオパトラ エヂプトの王たちと女王たち 野上豊一郎著
26 名士小伝 ジョン・オーブリー著、橋口/小池訳
27 島崎藤村・戦後文芸評論  平野謙
28 詩学入門 エズラ・パウンド著、沢崎順之助訳
29 書物とともに     寿岳文章
30 文学的回想 マクシム・デュ・カン著、戸田吉信訳
31 気違い部落周游紀行    きだみのる
32 ヴィクトリア女王 リットン・ストレイチー著、小川和夫訳
33 自然と象徴 ゲーテ著、高橋義人編訳、前田富士男訳
34 カワウソと暮らす: G.マクスウェル著、松永ふみ子訳
35 清唱千首          塚本邦雄
36 イタリア抵抗運動の遺書 マルヴェッツィ編、河島英昭他訳
37 完本  茶話  上 薄田泣菫著、谷沢永一
38 完本  茶話  中 薄田泣菫著、谷沢永一
39 完本  茶話  下 薄田泣菫著、谷沢永一
40 嘘の効用 上     末弘厳太郎川島武宜
41 緑雨警語   斎藤緑雨
42 世界童謡集  西条八十水谷まさる
43 泣菫随筆    薄田泣菫著、谷沢永一、山野博史編
44 象徴主義の文学運動 アーサー・シモンズ著、前川祐一編
45 嘘の効用 下     末弘厳太郎著、川島武宜
46 秀十郎夜話         千谷道雄著
47 野鳥歳時記      山谷春潮著
48 江戸と大阪      幸田成友
49 金子光晴抄:詩と散文に見る詩人像 河邨文一郎編
50 「あまカラ」抄 1     高田宏編
51 「あまカラ」抄 2     高田宏編
52 「あまカラ」抄 3     高田宏編
53 周作人随筆 周作人著、松枝茂夫訳

入廁読書

 先月に谷崎潤一郎の「きのふけふ」を読んだ時に、周作人のことを話題にしまし

たが、谷崎に導かれて「周作人随筆」を読んでみることとしました。

 二十年ほど前にでた本をネットで確保であります。

周作人随筆 (冨山房百科文庫)

周作人随筆 (冨山房百科文庫)

 

 なかなか読む時間がとれないのですが、短い随筆でありますので、朝の廁時間に

持ち込んで良いのではと思いつき、本日それを実行しました。本日に読んでみたのは

谷崎と永井荷風の随筆を話題とした「冬の蝿」は5ページほどのものですから、心静

かな時間を過ごすには、ちょうどよろしでありました。

 そう思っていましたら「周作人随筆」のなかに「入廁読書」という、そのものずば

りの文章がありました。 

「人が厠にゆく時間は本来一定しがたいが、とにかく非常に短いということはなく、

そして飯を食うのとちがって、時間がどんなに短いとしても、やはり空費のように思

われるから、なんとかしてこれを利用する方法を考えることになる。」

 ということから、「私は厠で本を読むことには大賛成だ」ということになります。

 この文章には、谷崎の「陰翳礼賛」から日本の厠のすぐれた点を述べたくだりの

引用があるのですが、谷崎には「厠のいろいろ」というのがありまして、谷崎にとっ

ての理想の厠が論じられています。残念なこと、谷崎は厠での読書を話題にはしてい

ないのでありますが。

 周作人さんの「入廁読書」の最後のくだりは、次のようになりです。

「かりに清潔な廁があったとすれば、厠に上がったとき本のすこしも読むのはやは

りよろしいが、しかし文章を案ずるのはどうかと思う。書物といってもべつに経・

史・子・集を区別する要はない。何でも随意に見ればいいのだ。私のきまりとして

は、善本や難解な本は持っていかない。私の経験によれば、随筆類を見るのが一等

よく、最もいけないのは小説である。」

 当方の経験でも厠での読書に一番適しているのは、短いコラムであろうと思うの

でありました。