取りあいにならずか

 本日の夕方に行きつけの本屋へと足を運ぶことになりです。

 お目当ては今月の文庫新刊で、発売日は11日ですから、それから三日目く

くらいには当地の店頭にならぶことになります。この会社の文庫の場合、行きつ

けの本屋には各一冊しか入りませんので、人気のあるものでしたら、すでに売れ

てしまっていることもありです。

 その昔の別の行きつけの本屋さんは、岩波文庫の新刊が入ったりしていたの

ですが、それはどこかの見えざる人とで取り合いをしておりまして、ちょっと足を

運ぶのが遅くなりましたら、すでに売れてしまっていました。当方と好みの似た人

でありまして、いつの間にかその人は姿を消したようでありまして、いついっても

岩波文庫の新刊は売れてなくなることはなくなり、そのうちにその行きつけの店

は閉店してしまいました。

 一冊しか入らない本を取りあいするくらいが景気よくてよろしいかです。

ということで本日の一冊は、次のものです。

 洲之内徹さんといえば、きまぐれ美術館でありますが、椹木野衣さんによる選は、

すべて「きまぐれ美術館」シリーズからのものでした。

当方は、洲之内さんの本は集めておりまして、「気まぐれ美術館」は単行本で揃えて、

新潮文庫になった三冊も持っているのですが、これが見事によく読むことができて

いないのです。

 気まぐれというのですから、ちょっと素直ではなくて、頭に入りにくかったりするの

ですね。文章のリズムがうまくあわないとまるで先へと進まないことになりです。

 当方と同じように洲之内さんの文章に、すこし苦手意識を持っている方には、この

ようなセレクションはありがたいものであります。

 すこしでも洲之内さんの文章を読んでいる方には、椹木さんの解説から読むのが

おすすめであるようです。

この椹木さんのガイドによって、まずは文庫収録のものをいくつか読んでみることに

いたしましょうぞ。