みすず「読書アンケート」 2

 アンケートであがっている本で、当方も購入したものに次のものがあります。

長谷川〓二郎画文集 静かな奇譚

長谷川〓二郎画文集 静かな奇譚

 長谷川潾二郎さんの画文集でありますが、これについては栩木伸明さんと
栗原彬さんのお二人があげておられます。これは、回顧展の図録ともいうべき
ものでありますが、このような図録が、一般図書として流通するのは大変珍し
いことのです。
 この本についての栩木信明さんのコメントは、次のようになります。
「 平塚市美術館で見た展覧会があまりにもよかったのでこの本を買った。
 どんなに精巧な図版でも絵の現物が持つサイズ感と物質性は再現できない
から、画集というものには宿命的に幻滅がつきまとっているのだが、その幻滅
を、ことばが埋め合わせてくれる場合がある。
 画家は書く『小さい物を大きいものと変わりない気持ちで描く』・・・」
 この図録がすぐれているのは、作品の紹介だけでなく、貴重な長谷川潾二郎
さんの文章を眼にすることができて、それを読むことが、作品理解に役立って
いるからでありましょう。