少し前から再読していた佐藤正午さんの「冬に子供が生まれる」も、なんとか
終わりのページにたどり着きました。最初に読んだときよりも、すこしは読みが深く
なったと思いたいことでありますが、どうでありましょうね。
そう思っておりましたら、ヤフーのヘッドラインに、文春オンラインに掲載のこの
小説の書評があがっていました。評者は角田光代さんであります。
ちょうどいいタイミングでの記事で、早速にこれを読んでみることにです。
当方は、これまでのところ新聞書評欄で二つほど、この本の取り上げをみていま
すが、どの書評も、この小説の凄さをどのように表現したらいいのかというところで
の戸惑いがあるようにも思えました。
当方などは、この小説がどのように凄いのかということも、わかっていないこと
であります。
角田さんの書評の、おしまいのところを引用です。
「佐藤正午さんの小説は、おもしろいだろうという予想をはるかに超えておもしろ
く、読むたびにびっくりするけれど、今回もまた驚いている。なんてものを見てしまっ
たんだ、なんてものに触れてしまったんだという驚きである。」
これを見て思うことは、実作者には、佐藤正午の存在は大きいものであり、
読んでおもしろい小説を発表する人で、作品ごとに驚くしかけがあるということ
ですね。
読み手も試されることでありまして、この作品を一読して感動したなんて読者
は信用できないと思われることです。一度目は小説の筋を追って読み、二度目は
あちこちに仕掛けられている伏線を回収しながら、そして三度目はでありますが、
次回、三度目、この作品を読むのは、どのタイミングとなるでありましょう。