すこしは読まなくては

 本日に野暮用から戻りましたら岩波「図書」3月号が届いておりました。

このところ郵便事情が悪いために、配達が本日になったのでありましょうね。

それにしても「ちくま」「波」「一冊の本」「図書」と購読しているのですが、

ほとんど読むこともできないうちに、次の号が届くというのがこのところであり

ます。

 これじゃいかんと、本日は「図書」と「波」を手にしておりました。どちらも続き

ものがありまして、バックナンバーもあわせてとりだして、一気に読んでしまわな

くてです。

 「図書」の続きもので読んでいたのは松本礼二さんが書かれた「父の友人

たち」というものです。

 松本さんが二歳になるかならぬかで亡くなった父上の旧制高校で出会っ

た友人たちについて書いているもので、古在由重、村井康男、尾崎英子、篠田

英雄、山崎謙、中西篤、塙作楽、吉野源三郎という人たちの名前があがって

います。当方が辛うじて名前を知っているという方が何人か、初めて聞く名前の

人が半分となりますが、篠田英雄さんを除く人たちは、いずれも「戦前戦中、

父と同様に、共産党ないしその周辺にあって非合法活動に携わり、あるいは

その嫌疑を受けて治安維持法違反に問われ、獄中生活を送った人たちが

少なくなかった。戦後、そうした人々は父を含めて政治・言論活動を再開し、

左翼論壇の一翼を担い、いわゆる『進歩的知識人』として知られるものも

あった。」ということになります。

 タカクラテルとか伊藤律など、最近ほとんど話題になることのない人たちに

ついての文章を久しぶりに目にしたことでありです。

 「波」では、三回続いた北村薫さんの「不思議な時計」を読むことにです。

これが楽しいのでありますが、話題がうつりかわっていて、ついていくのが

たいへんであります。馴染みの薄い萩原朔太郎が中心に据えられているせ

いもありまして、ちょっととっつきにくい。

この「不思議の時計」を表題にして、「本の小説」は単行本になるのだそう

です。