死者が連れ立って

 昨日は2月5日に亡くなった西村賢太さんのことを思いだしながら、本を手にして

いたのですが、本日は、私のことをお忘れかというかんじで、出先のブックオフで、

文春新書を手にすることにです。

 そうでありました冬に急逝したといえば、この方もそうでありました。しかも西村

さんのことを早くから評価して、自分が編集していた雑誌にも頻繁に登場させて

いました。

 そういうことからは、このお二人が亡くなったことは、当方の読書生活をさびしい

ものとしていることです。どちらも「本の雑誌」が特集号を出してくれていますが、

まだまだお若い二人でしたので、今も健在であれば、当方を楽しませてくれたこと

でしょう。 

 ということで、本日に確保した本は、これでありました。

 2009年の新刊となります。この時代は、当方はいまだフルタイムで働いており

まして、坪内さんの新刊は購入していたのですが、このシリーズと酒中日記のよう

なものは、見送りでありました。

 というか文春新書というのは、どういうわけか当方が巡回する書店には入荷が

ないか、あっても坪内さんのものは、見かけることがなかったのであります。

そんなわけで、ほぼ最後まで「人声天語」は購入することがないでありました。

 新刊でもあまり見かけることがなかったのでありますからして、市内のブックオ

フで眼にすることはほぼありませんで、前回にこの店を訪問したときには見かけ

なかったように思いますので、本日はほんと、ここにいますよと声をかけられた

感じでありました。ありがたいことで。

 この「人声天語」は、文藝春秋に連載されていたコラム集で、どちらかというと

時評的な話題が多く、そのなかに出版系の話題などもちらほらです。

ちょうど、この時期(2009年)には、坪内さんの相撲熱が再燃したころでありまし

て、「相撲のおかげで季節感を取り戻した」と書いているのでありました。

 当方は、その時期はまったく相撲を見ることはなかったのですが、相撲の本場

所が始まると、仕事のペースが変わってしまうというのは、納得であります。

「大相撲のテレビ中継は三時半頃にはじまり六時に終わる。

まさに私の仕事のハイタイムだ。それでも最初の頃は、仕事を行いつつ、その合間

合間にテレビを見ていた。最初の頃は、というのはヒイキ力士が少なかった頃だ。

しかしヒイキ力士や注目の取組が増えて行くのにしたがって、そうはいかなく

なった。 

 東欧組だけでなく、鶴竜朝赤龍、龍皇といったモンゴル勢、稀勢の里、栃おう

山、豊真将豊ノ島ら日本人力士の新鋭もとても気になってくる。」

 ここで名前があがっている力士はすべて引退していて、龍皇を除くと親方で、しか

も部屋持ちとなった方が多いことです。それにしても、2009年くらいの稀勢の里

見てみたかったな。

 今は朝からインターネット中継で取り組みをやっていますし、BSでは午後1時から

放送していますので、坪内さんが健在でありましたら、ずっと相撲を見ることになった

のではないかな。