ここのところ手にしている坪内祐三さんの「人声天語」2009年刊に収録
のコラムには、次のようなくだりがあります。
「私は、みすず書房の新刊を、いつもそのコーナーでチェックして購入して
いたのだが、コーナーが消えてしまってからは、探すのがとても不便になっ
た。昔は多くの本屋にみすず書房の棚があったが、今はもうその棚は殆どない。
しかし、こういう時代だからこそ、みすず書房にますます頑張ってもらいた
2006年5月号に発表されたものですが、坪内さんがいつもチェックしていた
のはその前年に閉店した渋谷の旭屋書店のみすず書房の本を集めたコーナーで
ありました。
全国的にみれば、みすず書房は一つの奇蹟であるのでしょうが、こういう時
代における出版の奇蹟的な取り組みというのは、日本のあちこちに見られるこ
とであります。
出版ということからは、ほとんど日本のローカルとなった感のある大阪でい
きますと、まずは編集工房ノアさんでありますね。坪内さんもノアのファンで
ありましたが、ノアをつぶしちゃいかんといった、上方の文化人たちは、次々
と姿を消していて、ノアは今もなんとか生き残っています。
先日にノアから「海鳴り」を送っていただきましたので、出版リストから
選択して版元に注文をしたものが、本日に届きました。2000年と2006年に出
版されたものですが、ならべてみますと、どちらもすぐにノアの本ということ
がわかります。
当方にとっての関西というのは、編集工房ノアの図書目録のなかにありです。
ノアをつぶしちゃいかんといった足立巻一さんの本が、ノアの目録から消え
そうでありまして、足立さんの本をノアからなくしちゃいかんでありますね。