終わるとさびしいことで

 大相撲の五月場所が終わりまして、これから二ヶ月本場所はお休みとなりま

すが、昨日くらいまではネットに相撲の最新情報のようなものがあったのに、

本日からはずいぶんと静かになってきました。やっぱし、すこしさびしいこと

であります。

 コロナ禍の相撲部屋運営というのはいつもと稽古のやりかたなども、違うよ

うで、他の部屋に遠征しての稽古ができないことから、部屋に関取が複数いな

い力士にとっては、稽古相手がなくて苦戦をしたようであります。

名門部屋といわれた部屋に所属する若手の大関がだめなのは、稽古相手に恵ま

れず、お山の大将となっていたからとも言われています。

 このような現状を、相撲を見物して長い坪内さんはどのように評したろうな

と思うことです。坪内さんの相撲についての文章は、「人声天語」としてまと

められた「文藝春秋」のコラムに登場することが多かったようです。

 いま手元にある「人声天語2」は、2009年〜2015年に連載のものですが、

この頃は、当方はまったく相撲に興味をもっていませんでした。それだけに、

坪内さんが2012年に「相撲ブームの復活は稀勢の里にかかっている」とか、

2011年に「私も蒼国来を支援する」という見出しを目にしますと、遅れてきた

ファンとしてなるほどなと思うのであります。

 2011年6月号の坪内さんコラムから引用です。

「蒼国来という力士をご存知だろうか。相撲好きな人なら、ここ数場所メキメ

キと力をつけて来て、これから楽しみな幕内力士ね、と答えるだろう。私も

彼の活躍を楽しみにしている一人だ。

 そんな彼、内モンゴル出身の蒼国来が『八百長』でクロと判定された。

 そもそもこの判定がかなり不思議だ。」

 八百長でクロと判定された蒼国来は、引退勧告されたのに反発して裁判に訴

えて、それに勝訴し、まだ土俵に戻ることができたのですが、戻るまでにまる

二年の歳月が必要でありました。

 もちろん土俵に戻るまでの二年は、当時の親方が盾になって守ってくれたの

でありますが、相撲協会に反旗を翻したかっこうとなり、相当につらい日々で

ありましたでしょう。

 それから10年が経過して、昨年七月場所で蒼国来は引退し、所属する荒汐部

屋の部屋持ち親方となったのでありますね。

 蒼国来改め荒汐親方は、たぶんあちこちの名門部屋の親方にはない指導力

発揮するものと期待することです。五月場所では部屋頭が大活躍でありました

し、来場所は関取がもうひとり増えそうです。

 こういう親方の部屋でありましたら応援したくもなりますね。