アンコンシャスバイアスかな

 昨年から借り続けている「サラリーマンの文化史」でありますが、やっとこさ

でいくつかの章に眼を通すことができました。当方の気になるところから読んで

みることにです。

 たとえば、次のようなところになります。

「戦後日本の労働運動が世界史的水準でも類を見ないほど盛り上がった最大

の要因は、まさに生存権を確率するために、賃金労働者の連帯が必要になった

からだった。占領改革によって戦前の職層である『職員』と『工員』の格差は取り

払われ、かって『蒼白きインテリ』だったサラリーマンも、1950年前後までは誇り

をもって『労働者』という階級に属していたようだった。」

 労働者の組織化というのも占領政策の一つでありましたので、職場の民主化

ということで、社員と職工という封建的な身分制の解消が課題でありました。

若い学卒社員たちは率先して、労働組合に参加して、それをリードしたというの

が、1950年頃までの会社でありました。

 それに変化をきたすのは、朝鮮戦争から冷戦構造になっていく過程でありま

すが、なかにはそのまま労働運動のリーダーとして残ってしまった人もいるので

ありますね。

 「サラリーマンの文化史」では、銀行労働組合を横断しての統一組織である

全銀連とその交流を目的とした機関誌「ひろば」を取り上げています。

「半世紀もの間、定期的に発行された機関誌というだけでもあまり類を見ない

が、『ひろば』がもつ最大の価値は、『青婦人部』という青年と女性組合員の活動

のなかから生まれた点にある。さらに、『逆コース』が流行語になる時期に刊行を

開始した同誌は、朝鮮戦争の勃発にともなう占領政策の転換と、労働運動への

弾圧に対する抵抗の側面をもつ。」

 「青婦人部」という言葉が懐かしいことであります。当方が就職した頃の労働

組合は、女性という言葉は使われていなくて婦人でありました。組織的には青婦

部と言っていたように思います。

 この言葉だけでも時代を感じることです。1970年代でも、女性は結婚したら

退職して当然という感じでしたものね。

そうはいっても、女性のなかにも採用区分による身分差のようなものがありまし

たです。

 戦後まもなくに仕事についた女性には給仕という職で採用になった人がいる

一方で、女学校をでて職員で入った人などもいて、女学校卒女性に言わせると、

お茶くみは給仕の仕事で、私の仕事ではないとプライドが高かったです。

 そんなこんなことを思いながら、「サラリーマンの文化史」を手にしているので

ありますが、この著者である鈴木さんは1976年生まれでありますので、自分の

祖父母世代のサラリーマン像を分析しているということで、なかなか珍しいこと

であります。 

 さて、どんな人かなと思って検索してみたら、これが女性の研究者さんであり

ました。当方は、これを書いているのは女性とは、まったく思わなかったことで、

それこそアンコンシャスバイアスですね。