7年ぶりなのか

 本日の新聞広告を見ましたら、佐藤正午さんがぐっと正面を見て登場している

のに驚きました。広告は、佐藤さんの七年ぶりの新作小説の刊行を伝えるもので

ありました。(めったに顔を晒すことのない正午さんでありますので、今回は特別

感がありますね。もちろんご本人は気が進まなかったでしょうが、編集者さんに

説得されたのでしょうね。どこの出版社もたいへんでありますので。)

 見出しには「直木賞受賞第一作!」とありました。そうか「月の満ち欠け」から

ただの一つも小説を発表していないのか。それこそ普通でありましたら、直木賞

受賞してまもなくに小説雑誌などに「受賞第一作」ということで発表されるので

ありますが、七年もたって、それこそ佐藤正午さんが直木賞をとったことも忘れ

られている頃に「受賞第一作」ですから、これが正午流でありますね。

 新作のタイトルは「冬に子供が生まれる」というものだそうです。今回の版元は

小学館であります。

 どんな小説なのでしょうね。元々当方は、正午さんのエッセイ集は新刊がでたら

購入するようになっていたのですが、小説はなじみが薄くて、新刊がでて購入した

のは、前作「月の満ち欠け」が初めてでありました。今回のも気になるし、読んでみ

たいのでありますが、いましばらくはどうしようかと迷うことにいたしましょう。

 そういえば、12月に小学館文庫から刊行の「書くインタビュー6」では、「月の満ち

欠け」の映画公開とともに、新作のことが話題となっておりました。

この文庫についている帯には、新作「冬に子供が生まれる」2024年1月30日ごろ

発売予定と記されていました。予定通りで出来上がったということですね。

 佐藤正午さんの「書くインタビュー」は、小学館のWEBきららに掲載されている

ものですが、2022年10月までにアップされたものが文庫化されています。

そのおしまいのところに、次のようにありました。

「というわけで、もうじき書きあがる予定の小説を今後、WEBきららで、第一章から

書き直しつつ、というか、まあ意味は同じですが推敲しつつ、連載していくことに

決まりました。決まりましたといか人ごとじゃなくて、自分の考えで決めました。

決めたのをWEBきららのほうで承諾してもらいました。

 で今後とはいつかといえば、来月です。

 善は急げ。来月からここで新連載小説が始まります。」

 そういうことで、2022年末から連載されていたものが、終わりまして、それが

めでたく刊行にこぎつけたということですね。

 岩波、小学館と続いて、この次は光文社になるのでしょうか、次も七年かかる

とすれば、次の小説の時に、当方は八十代となっている勘定で、新刊時に読む

ことができる佐藤正午さんの小説は、これが最後のものになる可能性もありだ

なと思うこと。