買っておいて良かった

 本日の夜になって、やっとこさでちくま文庫「山梔」の最後のページにたどり

つきました。野溝七生子さんの存在を知ってから、三年半がたっています。

立風書房の「野溝七生子作品集」を確保してからも一年以上経過しています

ので、「山梔」を読むことができたのはちくま文庫が刊行されたおかげとなりま

す。(講談社文芸文庫で「山梔」が出たときには、野溝さんの存在を知りません

でしたからね。)

 矢川澄子さんをフォローしていて野溝さんを知ったのだよなと思って、検索を

してみましたら、これがまるで違っていて小田光雄さんの「近代出版史探索」の

おかげでありました。

vzf12576.hatenablog.com それにしても、「山梔」の主人公である阿字子さんというのは、なんとまあ可愛

げのない女の子であることかです。大正の終わりの社会で、このような女子がい

たら、その生きづらさというのは大変なものであったでしょう。

 阿字子さんは、女の子に生まれたら、結婚して家に入り、子育てをして家を守る

という生き方しか選択肢がない時代に、それに強い違和感を感じているのです

ね。

 当方のような男性からすれば、そんなに我を張っていないで、ここらで折り合い

をつけて、結婚したらと思うのですが、まったくじれったいのでありますね。当方は

これを読んでいましたら、よほど保守的であるということを痛感することであります。

 野溝さんの生き方が、この阿字子さんに投影されているとのことですが、作品を

執筆していたのは二十代半ばで、亡くなったのは九十歳でして、亡くなるまで

阿字子さんであったとのことで、栴檀はであります。

 「山梔」の解説をみていましたら、次にはこれをとありまして、「野溝七生子作品

集」をひっぱりだしてくることにです。この本を確保しておいて良かったことです。