昨日に引き続きで、昨年に印象に残った本であります。
本日は女性たちが書かれたものから上げることに。
山尾悠子さんの小説はうまく読むことができていないのですが、この本は
山尾さんの作品世界へのガイドブックでもあるようです。当方が楽しんで読ん
でいたのは、山尾さんが過ごした京都での学生時代の話題。当方のほうが
すこし年長ではありますが、ほぼ同じような時代の空気を感じることです。
以前に間村俊一さんの本を読んだときにも同じように感じましたが、間村さん
と山尾さんは、ほぼ同じ時期の同志社ですからね。
もちろん好きな作家についての話も楽しくて、今年は泉鏡花のものを読んで
みようと思っています。
・ 山羊と水葬 くぼたのぞみ 侃侃房
J・M・クッツエー作品の翻訳者として著名なくぼたさんでありますが、この方
は北海道出身でありまして、読売文学賞を受けたときに、地元の新聞で紹介され
ていました。そんなことで、このユニークな方を知ることになりました。
文学賞を受けたのはものよりも、こちらの「山羊と水葬」のほうが読みやすいも
のになっていて、特にくぼたさんがアン・バートンのレコードを擦り切れるくら
い 聴い たというくだりだけで、やられてしまいました。
北海道と先住の人々についての文章などは、広く道外の方におすすめのもの
であります。
・ じゃむパンの日 赤染晶子 palmbooks
思いもしなかった一冊で、若くして亡くなった赤染さんのことなんて、ほとん
ど忘れられているようなと思ったところに、新聞などに掲載されていたエッセイ
をまとめたこの本がでることになりました。(出たのは、一昨年ですが)
これは編集者さんと、赤染さんの世界を愛する女性ファンたちの思いが形に
なった本で、女性たちに足を向けては寝られないことです。
この本のことをいち早く紹介してくれたブログの方も女性でありましたし、女
性のネットワークはすごいこと。
今年は図書館から赤染さんの小説を図書館から借りて読むことにです。
たぶん、そのうちもっと読みやすくなるでしょうね。
ちなみに今年読んだ「うつら うつつ」は、発表されたときに絲山秋子さんが
絲山賞としていました。絲山さんもさすがだなと思いました。
ここのところ一年に一作という感じの絲山さんでありますが、作家活動も
20年となって、引き出しが多くなっています。これは黒蟹県という土地をめぐる
小説でありまして、そこでいろんな登場人物が動き出すことにです。
早くも、この連作の続きが読みたいと思うことです。
昨年の「まっとうな人生」も成熟を感じたのですが、絲山さんの作品は発表
されると必ず読むようにしています。