図書館から借りている本はいつか返さなくてはいけませんです。(二週間ごと
に延長をかけて借り続けているのですが、それでも)
いっそのこと購入しようかなと思ったりもするのが、くぼたのぞみさんの「山羊
と水葬」であり、山尾悠子さんの「迷宮遊覧飛行」の二冊であります。
どちらもほんとにいいのですよね。借りて読むことができるものは、基本買わずに
借りて済ますというのが、七十代になってからの流儀となっています。買って自分
の本にしますと、安心してしまって、いつまでもほっておかれるということもある
のですから、読むためにも借りたほうがいいのか。
くぼたさんのものでは北海道とか当方も好きな音楽の話題に大いに共感を感じ
ました。山尾さんのものでは、70年代における京都での学生生活のことにとても
親近感とうらやましさを覚えることにです。
本日は返却する前に、またぞろ山尾悠子さんの「迷宮遊覧飛行」を話題にする
ことにです。
いかに引用するのは、大学時代のキャンパスについての文章からです。
「同志社大学文学部の学生は四回生になると指導教授のゼミに入り、特に国文学専
攻の学生ならば、キャンパスのランドマークでもあるクラーク記念館内の教室へ
週四日通うことになる。今はどうなのか、・・・
さほど広からぬ市中のキャンパスには、・・何より重要文化財・有形文化財建築
が軒を連ねんばかり。なかでも小ぶりなクラーク記念館は丸屋根尖塔つきの二階建
てネオゴシック建築といういかにもドラマチックな構造を持ち、色目がピンク煉瓦
に白石材という親しみやすさとも相俟って、確かに同志社の<顔>となるだけのこ
とはあるのだった。」
当方の友人には同志社文学部に通っていた人もいたのですが、彼から建物自慢の
ことを聞いたことはなかったです。彼がこの文化財建物でのゼミに参加していたと
したら、古くて夏は暑くて大変さといったのではないかな。
ということで、当方はなじみのないクラーク記念館を京都に住む知人に訪ねても
らうことにです。ちょうどチャペルコンサートがあるとかで、建物にも入ることが
できたとありましたです。
なるほど、これが重要文化財でありますか。山尾さんは、今はどうか知らないが
と記していますが、ここで普通のゼミ授業はないようであります。
うらやましく感じるのは、通った学校がそのままで残っていることであります。
当方は卒業した中学は廃校に、高校は建て替わり、大学は移転してしまって、
卒業した学校は、どこも姿を消してしまっているのですよ。土地と建物とセット
になった思い出が学校に関しては薄れていくことです。