あとがきまで楽しい

 11月から手にしていた瀬川昌久さんの「ジャズで踊って」は文庫版付録があっ

て、そのあとの編者あとがきまでたどりつきました。

高崎俊夫さんの編集とあとがきも素晴らしい、当方の友人はこの本を高崎編集本で

あるので購入を決めたと話してくれました。)

 当方はジャズが好きでありますので、瀬川さんの名前は早くから知っておりました

です。当方はハードバップからのモダンジャズをきいておりましたので、瀬川さんが

育ったスウィングジャズは、ちょっと古いかなと感じておりました。

 今はなくなってしまった雑誌「スウィング・ジャーナル」が、過去の名盤の復刻し

たものをゴールドディスクということで選定する、レコード会社とのタイアップ企画

がありまして、そのなかにスイング時代のものがありまして、こんなのがあるのかと

思いました。

 そんな流れの中で知ったのがブランズウィック版のテディ・ウィルソンであったり

クロード・ソーンヒルでありましたが、そんな名前をこの本で見かけて、なるほどこ

ういう時代であったのかと思いましたです。

 この文庫で付録となっている瀬川さんの「50年代ニューヨーク日記」には、この

時期にライブハウスに足を運んで聴いた音楽のことが書かれています。

「私の大好きなビッグバンド、カウント・ベイシーデューク・エリントン、ウディ

ハーマン、スタン・ケントン、ジェリー・マリガンディジー・ガレスピー、みんな

ここ(バードランド)で、9時から夜中の3時近くまで三ステージたっぷりきいた。

私の崇拝するクロード・ソーンヒルのバンドが53年トレンド・レコードにLPを

吹き込んだ直後一週間バードランドに出演した際は、私はまんじりともせず、最終

ステージまで残ってソーンヒルサウンドに陶酔した。」

 当方がクロード・ソーンヒルの名前を知っているのは、この時の瀬川さんの感動が

あって、それがソーンヒル楽団のレコードプロモーションにつながったからでありま

しょう。 

 この本のまえがきには、榛名静男さんへの感謝が書かれていまして、この本で使っ

た資料は、榛名さんから提供されたものとありました。

「榛名氏は、戦前戦後にわたり、ダンス、ジャズ、ショー・ビジネス各般に、きわめ

てユニークな健筆をふるった。人も知る偉大な批評家であった。氏が、ダンス界の

最長老、藤村浩作氏の主宰する『ダンスと音楽』誌その他を通じて、長年発表された

多くの評論は、日本のショーやレビューの貴重な歴史的資料である。」

 この榛名静男さんは、はじめて聞く名前でありまして、この本からはたくさんの

知らないことを教えてもらいました。

 これはと思った唯一つは、383Pにあります「松竹の白井次郎は」というところ

で、松竹でありますからして、これは「松次郎」さんでありますね。

文庫 ジャズで踊って: 舶来音楽芸能史 完全版 (草思社文庫 せ 2-1)


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