ブックオフで単行本を

 昨日に買い物にいったついでに、久しぶりでブックオフに立ち寄ることに

なりました。このところ本の片付けをしなくてはいけないと思っていることも

あって、ブックオフで本を買うのは(特に単行本)ためらわれることです。

 そういう時に限って買いたいものが見つかるのですよね。これは文庫本で

持っているし、どうしようかなとすこし迷ったのですが、装幀も良いことから、

買ってしまいました。

 下にリンクをはったのは、文庫のほうでありまして、単行本の装幀はこれと

は違いました。

 この作品で絲山さんは芥川賞受賞したのですが、それより前に川端康成

などを受けていて、ちょっと遅かったのかもしれません。

 当方は遅れてきた絲山ファンでありまして、新刊がでると買って読むように

なったのは、ごく最近のことですが、一作ごとに新しい切り口がありまして、

楽しみなことであります。(このブログで、最初に絲山さんに言及しているのは、

小説ではなくて「絲的ココロエ」でありましたので、ここから世界が広がった

ことになります。

 当方の友人に絲山さんと同病の人がいまして、彼との付き合いの参考に

なればと思って、この「絲的ココロエ」を図書館から借りて読んだのです。

それから安価で見つかったら、絲山さんの本を借りて読み、図書館から借りて

読むとなっています。

 数年前には刊行となった「まっとうな人生」は、帯に新たな代表作とうたわ

れていたのですが、これはこれでそうでしょうけども、今回の「神と黒蟹県」こ

そ新たな代表作というにふさわしいように思いました。

 「まっとうな人生」は、以前の作品「逃亡くそたわけ」の後日談という趣で

ありましたが、今回の「神と黒蟹県」という連作集は、ものすごく構えの大き

な小説でありまして、黒蟹県とその隣接県をめぐる大河小説の序章を読んで

いるような気分になることです。

 この連作のなかの登場人物をめぐる話題を展開していけば、いくらでも話

は膨らんでいきそうであります。

 その昔に辻邦生さんが「ある生涯の7つの場所」という百の短編からなる

連作集を発表して楽しんで読んだことを思いだしましたが、絲山さんにも

黒蟹県を舞台にした連作を、これからも書いてもらいたいものです。