方言と小説か

 昨日に届きました「本の雑誌」11月号の特集は、「方言と小説」でありました。

冒頭には方言というか、いわゆる標準語以外で小説を書いて、発表している作家

さんによる鼎談となっています。

 当方はまるで読んだことのない作家さんでありまして、黒川博之さん、熊谷

達也さん、そして進行役として池上冬樹さんの三人が語っています。

読んだことはないのですが、黒川博之さんは、先週に見物にいった「BAD LANDS」

の原作「勁草」の作者でありました。

 


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 黒川さんはもっぱら関西地方の方言を使っているようですが、なかでも大阪

弁の小説が多いようです。

 黒川さんのいうところでは、次のようになります。

「僕が書いているあの大阪弁のセリフというのは純粋の大阪弁ではないですよ。

かなり共通語に近くなっている大阪弁。大阪は摂津弁と船場ことばと河内弁と

泉州弁と四つあるんですけど、同じ大阪人で、この人は泉州の人やとか、この

人は摂津の人や、というのはわかります。大阪市内でしゃべっているのはいわ

ゆる摂津弁なんです。船場言葉というのはもう消滅しました。だから大阪は

三つの言葉でやってます。」

 黒川さんにいわせると船場言葉はもう消滅したのですね。谷崎の「細雪」で

話されているのは船場言葉ですが、大阪の中心部のコミュニテイが消滅したこ

とが船場言葉が影薄くなったことの背景ですね。摂津は北で、河内は南であり

ますので、昔の漫才師さんは船場言葉に近く、最近の若手は河内に雰囲気が

近いと言われています。

 その昔に大阪中心部で育った方は、河内言葉を嫌っていましたものね。

 黒川さんの小説の字面を追った時に、どのようなアクセントを思う浮かべる

のかですが、映画などは発語しなくてはいけないので、監督さんや役者さんは

言葉に相当にアクセントに気を使わなくてはいけないですね。

 黒川さんの映画でありましたら、大阪の三つの言葉をミックスした大阪弁

いうことになるのでしょう。そういえば出演していた天童よしみさんは、出身

が八尾でありますので、そのまま河内弁で通してよろしいことです。