本日は図書館へ

 前回の図書館行きは、突発性難聴で入院治療から退院した翌日のことであり

ました。何日か期限が過ぎていたのですが、入院中ということで多めにみてく

ださいということで手続きをしたのであります。

 その時に借りたものが、早くも返却期限到来で、本日は今月二回目の図書館

で手続きです。このところ、図書館のカウンター作業に従事している人が定着

しないようで、そこそこ頻繁に通っている当方にしても、見慣れないスタッフ

さんが増えているように思うことです。

 どちらの公立図書館も経費節減ということで、予算を下げられ、スタッフは

非常勤化し、さらには管理委託になるということで、そのうちに図書館の借り

出しとか返却は自分でどうぞという時代がくるのでしょうか。

図書館の顔見知りのスタッフと、好きな本の情報交換をするというのは、夢の

また夢のになってしまいそうです。

 ということで、いま図書館から借りていて読んでいる小説のことです。

 島田雅彦さんの「時々、慈父になる」ですが、島田さんはどちらかというとあ

まり近しいものを感じない作家さんでありまして、デビュー作は、その当時に

読んでみようと思って、その後福武文庫で購入しているのですが、たしか読んで

いないはずです。 

 もう大分前のことになりましたが、島田さんが新聞に連載の小説が話題となり、

それを小沢信男さんが激賞していたことから、小沢さんがそういうのであればと、

これも安価で販売されているのを買って、そのうちに読もうということになって

います。

 そんな下地(?)があることもあって、島田さんに薄い関心を持っているとこ

ろに、ここ二作は自伝的な小説ということで、前作を図書館から借りて読んだこ

ともあり、最新作も借りることになったわけです。

 ほんとかっこつけて、薄っぺらい小説だことと思いながらも、このような

薄っぺらいと思わせる小説を書くというのも技術であるのかと、読み進むこ

とです。 

 なんとも主人公には共感できないのでありますが、なかで次のくだりを目に

した時に、当方は急にシンパシーを感じるようになったのであります。

「この結果(注、USA大統領選でのブッシュ再選)がよほどショックさった

のか、私は突発性の難聴に陥った。鼻を強くかむと、内耳の圧力が変わって、

一時的に難聴になることがあるが、すぐに元に戻る。ところが、今回は左側

だけ耳栓をしたようにあらゆる音が遠のいたままで、電話の声も右耳でしか

聞き取れなくなった。

 左右の聴力のバランスが悪いので、遠近感が消え、ビルの窓ガラス越しに

外界と接しているような気がしてくる。外の雑音が遠くなれば、静かに過ご

せるかと思いきや、左耳は耳障りな音だけを選んで拾う。足音やドアを閉め

る音、物がぶつかる音など骨伝導音は生々しく聞こえる。」

 ブッシュ息子の再選とありますので、2004年11月以降のことになります。

島田さんは1961年生まれですので、43歳くらいでありましょうか。

 ずいぶんと若くして突発性難聴に罹患したことであります。この時にどの

ような治療を受けたのか、いまはどの様になっているのかは記されていな

いのですが、島田さんは我が同病者であったかと思うと、すこしは親近感を

感じたりです。