何年もかかって長編小説を読むというのは、なかなか楽しいことでありまし
て、さて、次は何を読もうかと思案するときも、また楽しです。
その昔でありましたら、岩波文庫の目録を開いて赤帯から何分冊にもなって
いる長編ものを選んだりしたものですが、そうして読んだものをもう一度読む
ことはあるだろうかです。
もう一度読むよりは、買ったままで読むことができていないものを読む方が
いいかなと思って、30数年前に確保して、途中でとまっている小説をひっぱり
だしてくることにです。
プルーストの後に読む小説としての候補は、ひとつはこれであり、もう一つは
当方は、トルストイとかドストエフスキーはまるで読んでいないので、いつかは
「戦争と平和」を読まなくてはと思いながら、こちらは手元にストックがないもの
ですから、その刊本を購入するところから始めなくてはです。(E・M・フォスター
のエッセイを読んでいたら、おすすめ小説の一番はプルーストで、二番は「戦争と
平和」とありましたからね。)
ひっぱりだしてきた小説は赤帯ならぬ黄帯のものでありました。
「八犬伝」は、子どもの頃にダイジェストになっているものを読んだり、NHK
で放送していた人形劇を見たりしていて、おおまかなストリーは知っているよう
に思うのですが、もちろん、子どもむけではカットされているところがありまし
て、そこを読んでみようとしましたら、岩波文庫に頼るしかないのですね。
その昔に止まったところからの再開を目指して、三巻目を取り出したのですが、
これには「妖婦船虫」が登場することになるのですが、ページを開いてみて、
そのルビ付きの文字が小さいのに愕然です。これは拡大鏡が必要でありますね。