本日に野暮用から戻りましたら、「みすず」8月号が届いておりました。
早速に開封してみましたら、次のように記された紙がはいっていました。
「月刊『みすず』休刊 長年のご愛読に感謝いたします。
2023年8月号をもちまして、本誌『みすず』は休刊となります。1959年4月
創刊以降、みさなまに支えていただき、長い間刊行できたこと心より御礼申し
あげます。
なお、今後はウェブマガジン『WEBみすず』として新たな一歩を踏み出しま
す。」
いよいよ、これまでの「みすず」は休刊になるのですね。当方は、定期購読の
期間はそんなに長くはないのですが、「読書アンケート号」だけは欠かさずに
購入をしていまして、手元には1973年2月号から保存されています。
「みすず」との付き合いは半世紀を超えることになりです。
その昔は、「中国服のブレヒト」としてまとまった長谷川四郎さんの連載を楽し
みにして、後年は小沢信男さんの「通り過ぎた人々」と表紙裏の「賛々語々」を
心待ちにしておりました。(さすがに小沢信男さんの連載のときは、ずっと定期
購読でした。)
「みすず」はどちらかというとハイブラウな冊子であったのですが、当方が楽し
みにしていたのは箸休めのような緊張せずに読めるものであったことになります。
ここ何年かでは松本俊彦さんの文章を楽しみにしました。「みすず」がなければ
松本俊彦さんのことを知るのに、もすこし時間がかかっていたかもです。
そんなこんなことを思いながら、手元にある一番古い「みすず」と新しいものを
並べて記念撮影することにです。
右端が1973年2月号でありまして、これには京都書院のスタンプが押してあり
ますので、その当時に京都書院で配布されていたものを入手したのであります
ね。この時代は「読書アンケート特集号」ではなく、18ページくらいでの掲載
でありました。
この時代は、このアンケートを見て購入したりしていたのですね。篠田一士
さんがジョージ・ペインターの「マルセル・プルースト」を上げているのが、
この号でした。これはプルーストの小説を読んだら、読もうと思ってもう大分前
に安価で購入し、やっとその時が近づいてきました。
ちなみに1973年当時の定価は80円(年間購読料800円)でありました。
そんなこんなことを記していたら、ダラダラといつまでも記してしまいそうで
あります。
ということで、本日に届いてた最終号を話題にです。
いつもよりも短い文章が多くて、最後をにぎやかに飾ろうという内容です。
寄稿しているのは、松本俊彦さん、斎藤真理子さん、潮田登久子さんなど読む
のが楽しみなラインナップ。いつもこうだったら、もっとよかったのにとちょっ
と残念な気持ちになることで。
そのなかで引用するのは、斎藤真理子さんの文章から、なぜなら、そこに長谷
川四郎さんが登場するから。長い引用を避けますので、四郎さんの名前がでてく
るということしかわからないかもです。
「と長谷川四郎は書いていて、イヴリン・ウオーをほとんど読んだことがないの
にこの言葉だけを覚えているのはバランスが悪いが、長谷川四郎に関しては、
そういうことが多い。長谷川四郎が何かを引用していると、長谷川四郎が引用し
ているということ自体に安心して、その先へいそがなくてもいいと思ってしまう。
大きな絶壁の影の中にいたいのと同じような感じだ。イヴリン・ウオーはいつか
読むんじゃないかと思って、読まないままで三十年が過ぎた。」
みすず書房の小尾俊人さんと交流があった長谷川四郎さんは、創業のころから
の書き手の一人であったのですが、月刊「みすず」の休刊号に、そのお名前が
登場して、「みすず」は新たな一歩を踏み出すというのを実感することにです。
ちなみに気になる「読書アンケート特集号」は、2024年から書籍として
継続するのだそうです。これはうれしいことで。