能登紀行

 NHKBSで放送しています「こころ旅」の今週は石川県を巡るものでありますが、

その4回すべてが能登半島でありました。

 当方は金沢には縁ができまして、過去に何度か訪れたことがあります。その時に

食事をしたお店の方が穴水町の出身ということで、ちょうどその頃に相撲デビュー

した遠藤の話などで盛り上がったことです。

 その翌日に穴水町を中心に地震がありまして、あやうく金沢から戻ってきたこと

を思いだすのですが、一度穴水あたりに行ってみたいというのは、その頃からの

希望であります。

 特に最近のように、毎月能登の七尾まで掃苔にでかける人の話を読んでおりま

したら、能登へと行くのはそこそこ大変であるけども、行けないかしらんと思う

のでありました。

「本来であれば、能登の七尾に赴くには飛行機を使うのが最も利便である。また

列車を乗り継ぐならば未だ北陸新幹線が開通せぬこの時代であるなら、取りあえ

ず金沢まで向かう手段としては越後湯沢の乗り換えでもって、富山を経由する

特急列車におさまる方が常道と云えば常道と云えるコースであろう。」

 このように書いているのは西村賢太さんでありまして、小説「雨滴は続く」

においてであります。

 七尾出身の作家藤澤清造の没後弟子を自認し、とにかく毎月の月命日には万難

を排して掃苔に向かうのですが、その旅行経路についてのこだわりを書いている

くだりの引用であります。こだわりのルートは東京から米原まで行ってから、

乗り換えて敦賀経由で向かうものですが、これが掃苔に出向いた時のルートと

ありました。

 「こころ旅」は自転車で目的地に行くものですから、能登鉄道で七尾駅

下車してそこから自転車なのですが、西村さんは、毎月この駅で下車していた

のかと思いながた見物です。

 数年前までは七尾と聞いたら、モニターということくらいしか頭に浮かびま

せんでしたが、これだけ読まされたら、それは刷り込まれるはずであります。

 そして本日の「こころ旅」は、さらに能登半島を先端のほうに進んで時国家

周辺の風景が目的地でありました。時国家といえば、能登の旧家であります

が、この家のことは網野善彦さんの「古文書返却の旅」で知りました。

本日の「こころ旅」では時国家の敷地内に入ることはなかったのですが、こち

らのほうも見てみたかったことであります。

 やはり一度、能登をめぐってみたいことです。