先日の新聞読書欄で「杉浦康平と写植の時代」が取り上げられていました。
当方はブックデザインで杉浦康平さんを知ることになったのですが、60年代
後半からは時代のけん引役でありまして、杉浦さんがデザインしているだけで
購入を検討したものであります。
杉浦さんが作成したフォーマットで一番眼にしたのは、講談社現代新書であり
ますが、ちょっとコストがかかって大変と、すでにデザインが変わっていますが、
内容には関心がなくとも、杉浦さんのデザインをしたものであれば手がのびて
しまいます。最近はブックオフなどでも杉浦さんデザインの現代新書は少なく
なっていることです。
たぶん、この場でもあちこちで杉浦装幀本について話題にしているはずであり
ますが、今回の本でのテーマは写植とのことでして、これも興味深いことであり
ます。
当方の学生時代のクラスメートには、気が付いたら印刷屋さんとか、版下を
作るところに潜り込んで、そこで働いていたという人が何人かいます。
そうした人には写植オペレーターがいて、どういうことをしているのかと尋ねた
ことがありました。
今回の新聞紹介には、次のようにありました。
「写植(写植植字)は、写真の原理で文字素材の印刷用版下をつくる技術だ。
金属の活字を組み上げる活版印刷と比べてデザインの自由度が高く、1990年代
前半までの雑誌や、書籍、広告、放送などのデザインを席巻した。だが、DTP(
パソコンによる印刷物のデータ作成)が登場すると急速に取って代わられた。」
当方の同級生たちは、どちらかというとアナログな印刷業界で働いていたの
でありますが、2000年代に入りますと印刷自体が厳しいことになっていくので
ありますから、「写植の時代」は印刷屋さんにとっても良い時代であったのかも
しれません。