現代新書50周年 5

 講談社現代新書がでたときには、岩波新書を意識していたということがわかりまし
たが、最近雨後のたけのこのように発刊された各社の新書にも「刊行にあたって」と
いうようなマニフェストがあるのでしょうか。これはちょっと気になることです。
 それはさてで、講談社現代新書が強く存在感を印象づけたのは、なんといっても
デザインを一新してからのことです。デザインが変わったのは1971年のことです。
「1971年、講談社現代新書は大きな劃期を迎える。新進気鋭のデザイナー杉浦康平
起用しての四色刷カバーへの装丁の一新である。従来の新書には見られなかった、
カラーによる斬新なデザインは読書界にセンセーションを巻き起こし、新装丁での
第一回配本になった樋口康隆『日本人はどこから来たか』のベストセラー化とも
あいまったシリーズ全体に弾みを付けた。」
 当方においては、今にいたっても講談社現代新書といえば、杉浦康平デザインで
あります。
 その杉浦デザインは、創刊40周年となった2004年に姿を消すことになりました。
原因は、新書戦争といわれる新たな新書の発刊により、講談社現代新書が存在感が
薄くなり、それに対する反転攻勢が、デザインの変更と毎月の刊行タイトルを多く
したことだそうです。
「逆襲の始まりは2004年10月。創刊40周年を機に現代新書は装丁を一新した。
一冊一冊に趣向を凝らす従来のスタイルを継承しつつ、来るべき新時代への脱皮
をはかったのである。装丁をリニューアルした十月からの三ヶ月で実に二九点の
新刊を出し、相次ぐ新規参入を真っ向から迎え撃った。」
 今のデザインが、どのように従来のスタイルを継承しているのか、首をひねりたく
なりますが、このようにあるのをみますと、月に十冊近くのタイトルをだそうとした
ら、「一冊一冊に趣向を凝らす従来のスタイル」は足かせとなったと読めなくもない
ことです。