これまで読みついできた図書館本が、なんとなく一段落ついたような気持と
なって、ずっと読むのを中断していた「黒死館殺人事件」を手にすることにです。
ひどくペダンチックでありまして、うまく頭に入ってはこないのですが、とにか
くこれは読んでしまうしかないかです。
それにしても以前も記していますが、こういう小説が昭和の初めに書かれてい
るのですから、驚きであります。この作品などはすでに著作権が切れていまして、
いまでは青空文庫でも読むことができるのですが、やっぱり印刷された本で読む
ほうがよろしであります。これを読み終えたら、そのうちに「ドグラ・マグラ」
も読むようにしなくてはです。
これを読んでいましたら、このような小説を西村賢太さんんは好きであった
のだよなと思うことです。とにかく西村さんは筋金入りの本読みでありまして、
大正から昭和初期の私小説への造詣が深いのでありますが、それにとどまらず
小学校のころから横溝正史さんの小説に親しんでいて、自分の小説が初めて
文庫となったときには、横溝さんの角川文庫の装画をやっていた杉本一文さん
に装画をお願いしたのだそうです。
その後にほかの西村さんの文庫に、杉本さんの装画が使われているのかどう
かわかっておりませんが、角川文庫からでている西村さんの本が、一番流通し
ているのではないでしょうか。
これは横溝さんのお導きでありましょうか。
それでいくと、新しい「黒死館殺人事件」の装画は、ちょっと軽いように思う
ことであります。