世田谷の水色の家

 先日に放送があった「そして、水色の家は残った」というBSの番組ですが、

再放送のときに録画をして、気になっているところを見返すことになりです。

 この番組は、世田谷区で一番古い洋館ということになっている建物は、誰に

よって建てられ、どのような人が住まって、これからはどうなるのかというこ

とで番組作りがされていました。

 当方は、まったく知らない世界ですが、人気漫画家の山下和美さんという方

が声をあげて、この建物の保存団体を作って活動をしているとのことです。

この山下さんの作品が、広くこの洋館を世の中に知らせることになったよう

です。

 山下さんは、この建物にほれ込んで、なんとか残したいものと思ったようです

が、補修と維持のためにとってもお金がかかりますので、そうとうな覚悟で始め

たようです。(ニトリの社長さんほどお金回りがよろしければ、容易なのであり

ましょうが。)

 当方は手にしていないのですが、このコミックでは、そのことを描いている

ようです。

 今回のBS番組では山下和美さんが登場したところから話は始まっていくのです

が、建築した人、その後建物を買った人、その建物に同居人として住んだ人の

話題などが続きます。

 ここの一室に住んだ家族として、「月の家族」で知られる島尾伸三さんと潮田

さん、まほさんが登場することになりです。島尾さんは顔をだしていなかった

ようですが、潮田さんとまほさんが、ここでの生活のことを語っていました。

 なるほど後年にはシェアハウスのようになっていたのか。

 それで戦時中の家主さんの逸話を紹介するところで、登場したのが中野重治

さんの娘さん(現在84歳とのこと)で、顔出しはなかったのですが、その家に

は同年代の娘さんがいて、何度か遊びにいったという証言をすることにです。

 というのが、そのあと中野重治さんの小説作品につながっていきます。

この水色の家は世田谷豪徳寺にあるとのことで、中野重治さんもご近所にお住ま

いであったのですね。

 そして、中野さんはその住まいの主(大学の教員であったよし)をモデルに

「吉野さん」という作品を残しているとうことで、この作品が林淑美さんに

よって紹介されました。

 その時に映し出された中野さんの本が、ちくま日本文学全集でありました。

あの文庫サイズのものに、「吉野さん」が収録されているのかです。

たまたま、当方のところにこの「中野重治集」がありましたので、早速、この

「吉野さん」を読んでみることにです。

 当方の手元にあるこの本を取り出したら、1993年の当方の誕生日に息子

たちから送られたものであることがわかりました。ちょうど30年ぶりに日の目

を見たこととなります。

 息子たちに確認しましたら、もちろんそのことは忘れておりました。息子たち

はその時の父親の年齢を超えたと言って嘆いておりました。