トルコといえば

 先日から読んでいた橘外男の「コンスタンチノープル」をやっとこさで読む

ことができました。思いのほか時間がかかりましたが、これは古い中公文庫の

字が小さいことと、ちょっと古風な文体であることとも関係があるようです。

 この作品が発表されたのは1949年ということですから、当方の生まれる

前のことですし、作品の舞台となっているのは第一次世界大戦頃のトルコであ

りますので、なじみがなくとも不思議ではなしですね。

 この文庫解説で尾崎秀樹さんは「史実にかかわらずに書いた作品とはいえ、歴

史の流れは一応おさえており」と書いていて、トルコをとりまく大きな歴史の枠

組は、そのままなのでありましょう。

 ちょうどこの頃に、トルコはオスマン帝国から共和国に変わっていくのですが、

作中では共和国のリーダーとなる将軍が頭角を表してはきているものの、いまだ

皇帝が支配していいます。

 この時代のトルコの危うい立場のことを、作者は次のように書いています。

「ドイツはその頃近東諸国へのドイツ勢力東漸を図り、・・独帝ウィルヘルム

二世のトルコ皇帝訪問親土政策の結果、地中海の安全確保のため運河の東方160

マイル、トルコ領小アジアのアモロイス軍港計画を建て、対土借款を交換条件とし

てトルコ政府に該地の割譲または永久租借を強硬に申し込んでいたのでございま

す。しかし借款問題に対しては当時ロシア、英国の両国よりさらに有利なる条件に

ての応諾申し込みあり」

 当時のトルコをめぐっての周辺国の駆け引きは、現在も続いているのでありま

しょう。傍からみますと理解できないような指導者が君臨しているのですが、米国

とかロシアという大国を相手にして、自国に有利になるような交渉を行い、存在感

を示しているのは、この難しい地勢で生き延びてきた国家の知恵なのでありましょ

うか。

 当方は、トルコと聞いてもサルタナレーズンとドライいちじくくらいしか思い

浮かべることはありませんです。そういえば、一昨年くらいまではトルコ産のいち

じくはかなり安価で販売されていて、それを買って使っていたのですが、それが

入荷しなくなって、不自由しておりました。

 最近になってすこし復活してきたトルコ産ドライいちじくを購入して、これを

ラム酒に漬けて、来年のシュトレンのために保存することにしました。