まるで覚えていない

 いつまで上映しているのかはわかりませんが、最近は上映期間が短くなって

いるようでありますので、読んでからみるかとすれば、早々に「月の満ち欠け」を

読んでしまわなくてはいけません。

 この作品は岩波から元版がでたときに、市内の店に入っているのを見つけて購入

して、さーっと読んでいるのでありますね。この場では、購入してすぐに読み、そ

れを読み返していると記してあるのですが、まったくお恥ずかしいことでありまし

て、どのような小説であるのか、ほとんど覚えていないのですよ。

 覚えているのは、最初のシーンが東京駅であるということくらいで、あとは八戸

が登場したなということでしょうか。

 2017年7月くらいには、この小説の主人公が八戸出身であったりしても、そうな

のかと思っただけですが、その後にあれこれと情報が入ってくることによって、

八戸というのは、この「月の満ち欠け」の担当編集者 坂本さんの出身地であり、

そのほかにも、作中の主人公の属性には、坂本さんのものが投影されているのが

わかりました。

 これは坂本さんが会社で出世して、そのことがメディアで取り上げられたことに

よって知られるようになったのですね。 

 坂本さんは大学を終えてから、石油元売会社に就職し、どうしても出版に関わる

仕事をしたいということで、転職し(岩波しか採用してくれなかったと、ご本人は

語っています。)、営業職についたあと、念願の編集者となったとのことです。

 作中の主人公 小山内さんは、次のように書かれています。

「小山内堅は青森県八戸市で生まれた。高校まで地元八戸で過ごすと、東京の私大

へ進学して、きっちり四年間、大学生活を送った。そしてさほど就職活動に熱を込め

たわけでもなく、面接試験であっさり拾われ、四年生の秋には内定をとりつけていた。

 就職先は石油元売りの、中堅どころの企業である。」

 作中に通っている大学は池袋駅からとありますので、これも坂本さんにかぶります

ですね。ということは坂本さんの前職の石油会社というのは製油所の場所からし

アポロ会社なのかな。

 そんな小説の本筋とは無関係のところを楽しみながら、読み進めています。

 そういえば、岩波現代文庫からでた「小説の四季」は奥付けの著者には佐藤正午

あって、発行者は坂本政謙とあります。まさか、このような日がこようとは、お二人

ともに思ってもみなかったことでしょう。