おめでとうなのか

 あちこちの会社では役員人事が固まってきていることです。上場企業で

ありましたら、来月は株主総会でありますので、それにむけて態勢を整え

るということになりますね。

 コロナ禍でほとんどの企業は業績を落としていますので、こういう時に

トップが交代するというのは、後任として引き受けるのも大変なことです。

会社の役員人事は、基本的には新聞の経済欄に掲載となりますが、本日に

目についた人事は社会面にありました。見出しは次のようになりです。

 「岩波書店新社長に坂本氏」 見出しに続いての本文も引用です。

岩波書店の岡本厚社長(67)が退任し、取締役執行役員編集局部長

坂本政謙氏(56)が新社長に就任する人事が内定した。31日の株主総会

に開く取締役会で正式に決定する。就任は6月1日付。

 坂本氏は立教大学法学部を卒業後、1990年に入社。同社秘書室は『トッ

プの若返りを図る』としている。」

 これは驚きでありますね。岩波というひどく硬いイメージのある会社で

坂本さんは色物のような存在で、それが当方にとっては魅力でありました

し、それを応援していたのでありますが、その坂本さんにこれからの岩波を

託さなくてはいけないことになったということですね。

 当方が岩波の編集者 坂本政謙さんのことを知ったのは、光文社文庫

入った佐藤正午さんのエッセイ集を手にしてからであります。それから、

佐藤正午さんのものを読むようになり、坂本さんのことも気にするように

なりました。

 この場で、最初に話題にしたのは2009年のことでありまして、これによ

りますと坂本さんが佐藤正午さんと最初に仕事をしたのは2000年とありまし

た。

 岩波のかっての本流からしますと、坂本さんが最初に手掛けた佐藤さんの

本は「ギャンブルがテーマ」なのですから、相当に顰蹙をかったことであり

ましょう。

 20年前に大顰蹙であった編集者が、たぶんいろいろとあって、岩波の社長

になるというのですから、それだけ出版業界は大変なのでしょう。

 ますます好きな編集を担当する時間がなくなるようで、それはファンとして

は残念なことです。

岩波文庫的 月の満ち欠け

岩波文庫的 月の満ち欠け