図書館が休館であることをいいことに、現在借りている本の返却日を守らな
かった。なんとか読んでしまおうという気持ちはあったのだが、一気に読むと
いうタイプの小説でもない(あくまでも当方にとってのこと)ので、うだうだ
として時間がかかってしまいました。
というのは西村賢太さんの未完の遺作となった「雨滴は続く」のことであり
ます。
この作品については、あちこちで話題になっているはずでありますので、そ
れらをのぞいてみましたら、たぶんあれこれと知ることができるのでしょうが、
この作品は、あとどのくらい連載するつもりであったのでしょうね。
そう思って最終ページのところをみましたら、連載最終回の執筆途中で著者
が亡くなったことにより未完とありました。それまでの連載は2021年12月号ま
で掲載となっていて、それからちょっと空いて最終回を書いているときに亡く
なり、死後の2022年4月号に最終回が掲載となったものとありました。
ちょうど最終回は文芸誌に掲載となった小説が芥川賞の候補になる旨のハガキ
が届いたというくだりがありまして、これをもって終わらせるという考えであっ
たのでしょう。あとは、何度もこの文章を声にだして、推敲して(作者にいわ
せるとブラッシュアップ)から完成稿とするのであったのでしょう。
いたって粘着質でありますから、この作品を単行本にするときには、もうれつに
加筆などがなされたのでしょう。
本当に命を削っての仕事という感じですが、作品を読んでも相変わらずで、
愉快な気持ちにならず、すこし不愉快を楽しんだという感じであります。