時間をかけて「横しぐれ」

 先日からの「横しぐれ」の余韻が続いていますと記しますと、いかにもこの

小説を再読したように思われてしまいますが、まだまだであります。

 先日に qfwfq 様からコメントをいただいて、あれこれと丸谷さんの古い本を

取り出してきては気になるところをチェックしたりです。

 先日のコメントには、一週間ほどかけて再読したとありましたので、この作品

はそれだけ時間をかけるに値するものであるということがわかりました。

 当方は、最初「群像」に掲載されたときから、何度か読んでいるのですが、筋を

追うのが楽しい作品という印象であったのですが、それから48年もたっていて、

それこそ作中人物である主人公の父の享年(六十七歳)をも越えてしまっていま

す。

 ということで作中の父親のことが、より親しい存在に感じられてくることです。

そうした父親の機微に触れるような読み方をできないかと思うのと同時に自分の

父親にも重ねながら、時間をかけて読むことにします。

 折しも今月21日は亡父の誕生日でありまして、健在の頃には尊敬していた斎藤

茂吉の「白き山」にちなんでケーキのモンブランを食することにしておりました。

今月は栗が出回ることから、栗を買ってきて、それでもってペーストを作り、本日

スポンジケーキにあわせ、栗いっぱいのケーキをつくることになりです。

ほとんどごつごつした岩に覆われた山のようでありますが、雪がなければモンブ

ランもこのようでありますね。